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- マルチドメインシミュレーションなど、MEMS分野の設計・解析技術例
NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数値計算技術と物理的な知見をベストミックスさせて、MEMS 分野の実問題に適用して参りました。本ページでは、その例をご紹介いたします。
マルチドメインシミュレーション
MEMSデバイスの設計では、構造設計と回路設計が必須ですが、各々の設計は異なるツールで別個に行われることが多いです。
そのため、構造と回路の整合性の検証が十分に行ないにくく、設計の手戻りが発生したり、一方の設計フェーズにしわ寄せがいく傾向にあります。
当社では、構造と回路の整合性の検証をスムーズに行えるように、回路シミュレータを拡張したマルチドメインシミュレータ(MEMSpice)を提供しています。
また、構造設計が進んでいる場合に有効な手段として、3次元構造モデルを回路モデルに変換するツールも開発しております。

エネルギーハーベスター解析
昨今、IoT(Internet of Things)やトリリオンセンサといった概念に注目が集まり、世の中のあらゆる「もの」をインターネットを介して連携させることによって、
産業に革新的な価値をもたらそうとする動きが活発になっています。このような仕組みを支える要素の一つがセンサです。例えば、小型の物理量センサは、インフラや工場のモニタリングに活用されつつあります。
このようなセンサを動かすには電力が必要です。その電力を環境振動から得るデバイスがエネルギーハーベスターです。
例えば、橋には、車の往来によって、数十ヘルツ程度の振動が発生します。そのような振動を電力に変える際に、圧電効果を利用することができます。
振動に由来する加速度が圧電膜にかかると、慣性力によって圧電膜が変形し、発生した応力によって電圧が発生します。
ここでは、マルチドメインシミュレータを用いて、弾性膜を圧電膜で挟み込んだ「バイモルフ型圧電カンチレバー」を対象として、加速度印加による発生電圧を計算しました。
ここで、負荷抵抗は1kΩとしました。発生電圧を大きくするために機械的な共振を利用することが多いため、共振周波数を検討できるように、周波数依存性を計算しました。

表面弾性波デバイスのシミュレーション
表面弾性波(SAW)デバイスは、携帯電話をはじめとする通信機器のフロントエンドに用いられています。
デバイスを構成する部品の配置、配線や基板の特性を入力として、Sパラメータ(信号の反射・透過に関する物理量)の周波数特性を計算するシミュレータを開発しました。
ここで、デバイス全体のSパラメータは、各部分のSパラメータを逐一合成していくことによって求めました。
3次元形状シミュレーション
半導体のプロセスシミュレータを MEMS の製造プロセスに対応させて、3次元の MEMS デバイス形状を作成できます。 MEMS プロセスで多用される「深堀エッチング」や「接合」といったプロセスにも対応しております。具体的な計算は、こちらをご覧ください。
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容量解析
静電型MEMSデバイスの設計では、電極間容量の評価が非常に重要です。また、電磁駆動デバイスの設計では、可動部の配線の抵抗を評価することも必要です。 上記の「3次元形状シミュレーション」で得られた形状を用いて、容量や抵抗の抽出を行うことが出来ます。


プロセス逆問題解析
MEMSデバイスの設計には、加工プロセスとマスク形状の設計が主要な作業であると同時に難しい課題でもあります。プロセス逆問題解析では、通常のプロセスシミュレータと逆順にプロセスフローをたどることで、目的とするMEMS構造に最適な加工プロセスとマスク形状を導出します。当社ではプロセス逆問題解析を行うためのツールの開発実績があります。開発初期段階の試行錯誤を効率化し、ラピッドプロトタイピングを促進することができます。


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株式会社NTTデータ数理システムでは、長年にわたり科学技術計算の業務に携わってきた専門スタッフを数多く擁しており、この経験と知識を皆様の研究開発、設計、製造のために役立てたいと願っております。 様々な御相談をお待ちしております。

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