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Profile:株式会社コムデザイン 様
2000年設立。「人と人を結ぶ」をコンセプトに、2008年、自社開発のオンデマンドコンタクトセンターCTIサービス「CT-e1/SaaS」を提供開始。2023年3月現在、31,000席以上のコールセンター導入実績を持つ。このほか、SaaS事業の展開、CTIソリューションパッケージの企画および販売、受託開発なども行う。2020年、都築電気と資本関係を締結、グループ会社となる。
コールセンターの課題を解決するトータルソリューションを提供する
貴社はコールセンターシステムを提供されていますね。
寺尾 当社は、コールセンターの仕組みをクラウドで提供する CTI[1]「CT-e1/SaaS」を展開しています。コールセンターでの会話を音声認識機能によりテキストデータ化し、テキストマイニングや会話解析、CRM連携などコールセンターDXに必要な機能をひとつのプラットフォームで提供する「CCP[2]コンセプト」が大きな特徴です。このCTIサービスをリリースして約15年、今では日本で第2位のシェア(コールセンター席数ベース)となっています。運用中のお客様には専属のサービスオペレーションエンジニア(SOE)が技術的な支援を行い、DXなどでシステム改修が必要の際は追加費用なしで対応します。このサービス体制「CXaaS[3](シーザース)」もご好評をいただいています。
TMS を知ったきっかけは「都築電気様」だったそうですね。
寺尾 実は TMS の導入前に、お客様との会話のテキストデータをテキストマイニングしたいと考えており、当社SOEがフリーのツールでテキストデータの形態素解析をやってみたことがありました。半年ほど試行錯誤したのですが、思うような結果が得られなかったので、グループ会社の都築電気でデータ解析を担当している河野さんに相談しました。同時に、当社のデータを使ってテキストマイニングをお願いしたところ、短時間で目を見張るような結果が返ってきたのです。
河野 当部ではデータ分析ビジネスを開始した頃からNTTデータ数理システムのツールを多く利用しており、寺尾社長に依頼されたテキストマイニングは TMS で行いました。今回、コムデザインが持つコールセンター業務の知見と私たちのデータ解析の知見、それぞれのスキルトランスファーと互いの価値向上を視野に、コムデザインに TMS を導入することを提案しました。
TMS はどのようにご活用されたいですか。
寺尾 当社CTIで通話をテキストデータ化し、それを分析するためのツールとして、TMS の導入を行いました。TMS を活用することで当社から主体的かつ定量的に、お客様の課題解決に向けた働きかけを実現することができると考えております。具体的にはIVR導入、CRM連携、FAQ修正、チャットボットの構築など、お客様の課題解決に向けたビジネス(ソリューション)の展開を検討しております。
初めに「テキストマイニング研修」から始められたと伺いました。
寺尾 DX推進の波はコールセンターにも及んでおり、我々のCCPコンセプトもそれを見越したサービスをご提供しなければなりません。それには当社内でもデータ解析力を持つ必要があります。SOE自らデータ解析を行い、それによるエビデンスをもとに、お客様のDX推進に役立つ具体的なアドバイスやご提案ができる、そういう組織体を作り上げたいと考えております。そのため、まずはテキストマイニングに関する研修が必要であると考え、都築電気の河野さんに相談し、テキストマイニング研修を実施いただきました。
顧客業務を熟知しているからこそ、核心に迫る解析ができる
研修の参加者は全員、データ解析の初心者だそうですね。どのような研修だったのですか。
水谷 私はコムデザインでSOEを担当しています。今回の研修には私を含めた5人の SOE が参加しましたが、データ解析に関しては全員が初心者です。研修では都築電気の方を講師として、AI とは何かといったデータ解析の初歩に始まり、ビッグデータの扱い方、TMS によるテキストマイニングの手順やコツ、結果を見るときのポイントなど、ひと通り教わりました。
今回の研修でテキストマイニングした結果、この製品は問い合わせが多いから最初に案内すべき、この問い合わせは別の電話番号で受けるように切り分けたほうが業務改善につながるなどの気づきや発見が得られました。現在は、研修参加の5人それぞれが出した結果をもとに、みんなで話し合いながらひとつのコールフロー案にまとめる作業をしています。
これまで IVR は、お客様の業務分掌や商品ラインアップなどをもとに先方の経験や要望から案内項目を割り出し、コールフローを作っていました。しかしそれだと、実際に電話をかけてくるユーザーの目的と乖離していることがあります。今後はテキストマイニングによるエビデンスをもとに、お客様のIVR改善に具体的で納得いただけるようなご提案ができるはずです。
TMS で便利だと感じた機能や、今後利用してみたいと思う機能はありますか。
水谷 単語頻度解析によって、どの製品の問い合わせが多いのか、係り受け頻度解析によって、製品の次にくる言葉は何が多いかを紐付け、可視化できました。それを見ただけで、お客様が電話をかけてくる目的がすぐに分かり、今回の自社IVR改善ポイントの発見にとても役立ちました。便利だったのは削除語辞書で、不要な単語を簡単に除外できました。TMS はまだ基本的な機能しか使っていませんが、対応バブル分析やことばネットワークなど、テキストマイニングの結果をビジュアライズできる機能は分かりやすく、お客様に対する説得力が高まるので、今後使っていきたいです。
最前線のスタッフがデータ解析を行う意義は何でしょうか。
河野 受講したみなさんの解析結果を見て驚きました。初めてテキストマイニングを実施したとは思えないような、素晴らしい結果が出ていたからです。その最大の理由は、業務を熟知した上で解析しているからだと思います。みなさん、日頃から実務に携わっているため、たくさんの知見があります。それをもとに解析作業にあたるので、データの解釈や扱い方が上手。その結果、核心に近づけるのです。今後、お客様のデータで解析する際も同様に精緻な解析結果を出せるでしょうし、それをもとにより価値のある提案やオペレーションサービスの提供が可能になるはずです。
今後の事業展開に期待が持てそうですね。
寺尾 今回の研修に参加した5人のメンバーは、データサイエンスに関する知識や経験がバラバラな状況だったにもかかわらず、わずか6回の講習と TMS でこれだけの成果をあげてくれました。それがとても嬉しかったですね。データ解析のスキルを持つ人材を自社で育成できると分かりましたので、これからCCPコンセプトをさらに進化させて、CT-e1自体の価値向上と、お客様のさらなるご満足につなげていきたいと考えています。
おわりに
今回は、簡単な操作で本格的なテキストマイニングが行えるツール「Text Mining Studio(TMS)」を活用された事例についてご紹介しました。定期的に製品について紹介するオンラインウェビナーを無料開催しておりますので、気になった方はぜひご参加いただけると幸いです。
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また、弊社NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数理科学の技術を基に、お客様のご要望に合わせた受託開発を承っております。「データはあるから何となく何かをやりたい…」というきっかけでも大丈夫です。お客様が解きたい課題を弊社技術スタッフが一緒に課題整理を行いながら、ご要望に合わせたご利用形態で課題解決をサポートします!ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談いただけると幸いです。