株式会社GCAP 様 議事録等の「ことば」も活用する経営解析プラットフォーム構築事例

NTTデータ数理システム MSIISM Conference 2024 NTTデータ数理システム MSIISM Conference 2024
  • HOME
  • 議事録等の「ことば」も活用する経営解析プラットフォーム構築事例

企業経営の判断には 「ことば」も欠かせない

議事録等の「ことば」も活用する経営解析プラットフォーム構築事例

2021年5月11日 16:00

経営コンサルティング会社の株式会社GCAP(ジーキャップ)様は、企業経営を判断するものとして各種の数値データだけではなく、日々社内でやり取りされる「ことば」も重視している。そこでNTTデータ数理システムの Text Mining Studio(以下、TMS)と Visual Mining Studio(以下、VMS)を活用した経営解析プラットフォームを構築。業務提携しているパートナーと全国的なサービスを展開している。

PDF版はこちら

Profile:株式会社GCAP(Gordius Consulting And Partners Inc.)様
2014年、福岡県福岡市に設立、翌年経営革新等認定支援機関に認定、東京営業所開設。仙台、関西、四国のパートナーオフィスとネットワークし、中小企業、零細事業者を対象に経営改善/事業再生支援、事業承継支援、資金調達支援、M&A、創業支援などを展開。経営コンサルティング業務においてISO9001:2015取得、一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会事務局メンバー。
TEL: 092-432-3367
Mail: info@gkcp.jp

株式会社GCAP 代表取締役
チーフコンサルト
藤田 祐介 様

  • 日本生産性本部認定 経営コンサルタント
  • 中小企業診断士
  • 行政書士
  • IRCA登録 ISO9001、22301 審査員補
  • JRCA登録 ISO9001、14001、27001、27017 審査員補
  • シックスシグマ:グリーンベルト

現場は「ことば」で動いている

中小企業の経営コンサルティングを行っていると聞きました。

藤田 経済産業省が認定する経営革新等認定支援機関、情報処理支援機関の経営コンサルティング会社として、経営改善による事業再生支援や各種補助金の申請サポートなどを行っています。私とスタッフの他、福岡、東京、仙台などで活動している弁護士、公認会計士、司法書士、中小企業診断士、税理士、社会保険労務士、行政書士などのパートナーとも連携して活動を展開しています。
当社のお客様は全国の中小企業ですが、このセグメントはIT活用やそれによる経営解析が進んでいない領域です。そのようなお客様に対し、今お持ちの経営データを活用して価値のある分析結果をご提供したい、そして経営の健全化やさらなる発展に結びつけていただきたいと考え、独自に経営解析プラットフォームを開発しました。

経営解析プラットフォームはどのような特徴があるのでしょうか。

藤田 会計や生産管理といったシステムからの数値データだけでなく、会議の議事録、音声反訳などからのテキストデータも取り込んで解析している点が大きな特徴です。経営指標なら数値データだけでも見ることはできますが、実際の現場は「ことば」で動いています。経営陣がどんなことを念頭に指揮をとっているか、現場ではどんなことが起きているか、それらはすべて会議や現場でのやり取りで交わされたことばの中にあります。それによって経営が回り、結果として数値データが生成されます。ですから数値とテキスト、その両方を見ないと経営をリアルに判断できず、経営改革につながりません。

プラットフォーム化による全国展開

プラットフォームの仕組みを教えていただけますか。

藤田 テキストデータを TMS で、数値データを VMS でそれぞれ解析し、その結果をBIツールに取り込みレポーティングする。これがプラットフォームの基本的な仕組みです。TMS と VMS には標準的な解析プロセスをあらかじめ組み込んでいます。プラットフォームには、オンラインストレージ経由で取り込んだお客様データを TMS や VMS に自動的に読み込ませるよう設定しているので、取り込みから解析までほぼ自動化されています。その結果を参照しながら我々がレポートするほか、BIツールの情報はお客様側からも Web で閲覧可能です。

TMS と VMS はどのように使われているのでしょうか。

藤田 TMS で解析しているのは主に議事録です。TMS に取り込みやすいよう、当社で作成した議事録フォーマットをお客様にお渡しし、入力いただいています。それを、ことばネットワークを使うなどして我々が評価しています。例えば経営陣の議事録に「売上げ目標」「達成」といったことばが見られるのに、現場レベルではそれらが見られない場合、「経営陣に数値目標はあるが、それが具体的な行動計画に落とし込まれていないようだ」といった考察ができます。また「利益視点ではなく売上視点である。本当に利益状況が把握できているのだろうか?」などといったことも考えられます。
その上で、最終的にはとるべきアクションをご提案しています。議事録以外に、電話やファクスにも現場のことばは含まれており、さらに最近ではチャットやメッセンジャーツールも定着しつつあるので、今後はこれらも解析の対象にできそうです。
VMS は経営の数値解析に使います。中小企業でも会計や生産管理などでシステム導入が進んでおり、年商数億円レベルの企業でも年間に数十万件というトランザクションが発生しています。そのデータをさまざまな角度から解析し、出た答えをもとに収益性や安全性、成長性などを評価します。その他、シックスシグマ(統計解析を用いた品質改善手法)などにも活用可能性が高いのでは、と思い複数のプロジェクトで研究しているところです。
我々コンサルタントはいわゆる「フレームワーク」といわれるものを用いて経営指導等を行いますが、ややもすれば一部の断片的なデータや自身の偏った知見を当て込み、「見た目は良いけれど現実には使えない」助言や報告書となってしまうことがあります。あらゆるデータを取り込み、VMS上で分析した上でのフレームワーク活用は確度が高く、現場に即したものになると確信しています。
その他、当社では SDGs(持続可能な開発目標)の評価も行っており、経営指標からは見えないお客様企業の新たな一面が見えるようになったと好評をいただいています。

GCAP様が作成する経営分析報告書には、議事録をテキストマイニング・データマイニングした結果とともに、その考察、評価、採るべきアクション案が盛り込まれている。

このプラットフォームにはどんなメリットがありますか。

藤田 コンサルティングの世界では、データインプットの手法から解釈、アウトプットまでのプロセスが属人化しやすく、共有しにくいという問題がありました。その点、NTTデータ数理システムの TMS や VMS は分析プロセスの形式化や記録、共有が容易です。データをクリーニングしてマージする、属性を変更し分析するといった、私がOfficeソフトやその他のツールでやっていた処理が GUI で分かりやすく形式化できます。それをプラットフォーム化することで、パートナーと解析手法を共有することもできます。これによって一定水準の解析サービスを、全国のお客様企業にご提供することが可能となりました。しかもNTTデータ数理システムのツールは解析の精度が高いので、解析結果をお客様に自信をもってご提示できます。

本業以外でも当社のツールを活用されているそうですね。

藤田 一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)に参画し、IT を活用して運輸業界の変革を検討する活動をしています。実はNTTデータ数理システムのツールはこの活動を通じて知りました。2020年は新たなプロジェクトを国の受託事業として行うことが確定しており、そこにも VMS などのツールを活用していきたいと考えています。また、協業している都築電気株式会社様とは生産ライン上で予知保全を行う画像認識AI不良検知キットの開発を行っており、不良品発生予測などにツールを活用しています。

今後の展望をお聞かせください。

藤田 TMS も VMS もまだ使っていない機能がたくさんあるので、それを活用することで解析をさらに充実させていきたいですね。その中で期待しているのが、VMS の機械学習機能です。これを使えば過去のデータをもとに、その企業が将来どのような成長を遂げるかといったことが予測できるようになります。例えば M&A の際に買収される企業の価値を算出する場合にも応用できると考えており、現在検証しているところです。こういった活用は我々のサービスの価値をさらに高めることになるでしょう。

ご講演

経営現場をデータ化しよう ~中小・零細企業のDX推進・AI活用に向けて~

2020年11月に開催した、数理システムユーザーコンファレンス2020でご講演いただきました。

会計・労務データや議事録などのデータから経営指標の可視化を自動で行うシステムの構築事例、画像認識AIによる天然水工場での不良品排除と予知保全を行うシステム構築事例をご紹介いただきました。

ご講演資料:経営現場をデータ化しよう ~中小・零細企業のDX推進・AI活用に向けて~

おわりに

今回は、簡単な操作で本格的なテキストマイニングが行えるツール「Text Mining Studio(TMStudio)」と「Visual Mining Studio」を活用された事例についてご紹介しました。
2021年10月に「Visual Mining Studio」の後継製品として、AI・データ分析を内製化できるデータ分析プラットフォーム「Alkano」をリリースしました。それぞれ、定期的に製品について紹介するオンラインウェビナーを無料開催しておりますので、気になった方はぜひご参加いただけると幸いです。

▼現在開催中のセミナー
Text Mining Studio 紹介セミナー
Alkano の紹介セミナー

また、弊社NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数理科学の技術を基に、お客様のご要望に合わせた受託開発を承っております。「データはあるから何となく何かをやりたい…」というきっかけでも大丈夫です。お客様が解きたい課題を弊社技術スタッフが一緒に課題整理を行いながら、ご要望に合わせたご利用形態で課題解決をサポートします!ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談いただけると幸いです。

監修:株式会社NTTデータ数理システム 機械学習、統計解析、数理計画、シミュレーションなどの数理科学を 背景とした技術を活用し、業種・テーマを問わず幅広く仕事をしています。
http://www.msi.co.jp NTTデータ数理システムができること
「数理科学の基礎知識」e-book無料ダウンロードはこちら

関連記事