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CS進出ナンバー計算システムを開発

2020年8月17日 18:57

時事通信社は、プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)進出まで何勝が必要かを示す数字(CS進出ナンバー)を算出する「CS進出ナンバー計算システム」を開発・導入している。算出結果が正確、計算速度が速い、操作性のいいインタフェースで誰でも使える。三拍子そろったシステムが、野球シーズンの盛り上がりを裏で支えている。

Profile:株式会社 時事通信社 様
新聞・マスメディア 向 けニュースをはじめ、各種情報・データを各方面に提供している。その中で編集局は情報基地として、収集したニュースを国内外に発信。またシステム開発局は記事やデータを加工・蓄積し、配信システムで読者へ届けている。

吉永 正幸様
編集局総務(スポーツ担当)
吉永 正幸 様
川上 貴之様
システム開発局 開発二部
川上 貴之 様

※インタビュー内容、および取材協力いただいたお二方の肩書は2012年9月時点のものとなります。

クライマックスシリーズ制度ができて以来の課題だった

「CS進出のためには、あと何勝が必要か」という数字は、多くの人が関心を寄せる重要な指標ですね。

吉永 日本のプロ野球では、セントラル・リーグとパシフィック・リーグのそれぞれ上位3チームが、日本シリーズ進出をかけたCSに出場できます。各チームにとって、また野球ファンにとって、自チームがCSに出られるかどうかは大きな関心事。シーズン終盤に向かう8月に入ると、CS進出ナンバーの重要性は急速に高まります。
ただ、進出できるのは3位以内という条件に加え、日本のプロ野球には「勝ち」「負け」だけでなく、「引き分け」という独自のルールがあります。そのため結果のパターンが非常に多く、CS進出ナンバーを手計算するのは困難です。当初はシーズン終盤、残り試合数がわずかになったころに、手計算で全パターンを確認しながら、CSに進出するチームを求めていました。それでも複雑で時間がかかるうえ、他社さんの例では数字が間違っていたこともありましたね。正確な数字を出すことは、クライマックスシリーズという制度ができて以来の課題だったのです。なんとか解決したいと思い、システム開発に踏み切りました。

開発したシステムは計算エンジンにNumerical Optimizerが使われていますね。

川上 吉永からシステム開発局に話を持ちかけられた当初、私はこれが最適化問題にあたるということすら知りませんでした。たまたま知り合いにオペレーションズ・リサーチに詳しい人がいたので、話を聞いたところ、数理計画法が使えそうだとわかりました。でも当社はこの手の問題を扱ったことがありません。だったら最適化エンジンを自社で開発していて、システム化も得意なところに依頼したほうがいい。そう考えてパートナー企業を探した結果、数理システムにたどり着いたのです。数理システムのノウハウは圧倒的。おかげで細かな要望まで安心して相談できました。

複数のアルゴリズムを走らせて、絶対に正しい数字を出す

このシステムの特長をお聞かせください。

吉永 残り試合の全パターンからCS進出に必要な最小勝利数を素早く求める計算システムです。プロ野球は勝率で順位が決まります。ただし、勝率の同じチームが2つあった場合はどちらが上位になるのか、といった特定の条件下での複雑な判断基準がいくつもあります。数理システムは、こうしためったに起こらないケースにも対応した計算システムにしてくれました。
そもそもCS進出ナンバーは、点灯したり消えたりする優勝マジックナンバーとは異なり、開幕時から全チームに存在します。でも開幕当初など勝敗結果の組み合わせ数は天文学的。とても人間が計算できるものではありません。にもかかわらず、このシステムは間違えることなく、素早く結果を算出できます。

川上 実は正確な答えを出すために、複数のアルゴリズムを走らせているのです。もし配信した数字が間違っていて、進出できたと思ったのにまだだった……、なんてことが起こったらガッカリしますよね。そこで、すべてのアルゴリズムの計算結果が一致しなければエラーを返す、つまり自動で検算する仕組みにしてもらいました。これにより絶対に信頼できる結果を得ることができています。基本的な算出フロー

明日の試合後のCS進出ナンバーも、あらかじめ全パターンをシミュレーション

今や欠かせないシステムとして、日々、運用しているようですね。

横山 シーズン後半の7月から、試合がある日は毎日使っています。ただCS進出ナンバーを配信するのは、残り40~50試合となり、読者の関心が高まってくる8月あたりからです。 システムの使い方はとても簡単。その日の試合が終わったら、対戦カードごとに「勝者」「引き分け」「試合中止」を選択して実行するだけです。すぐに数字が表示されるので、今日の全試合が終わって5分後には、全国の新聞社やテレビ局、また当社Webサイト上にCS進出ナンバーを配信できます。
それが終わったら、さらに明日の試合後のCS進出ナンバーもシミュレーションします。セ・パ両リーグで最大6試合が予定されている場合、試合結果のパターンは128にものぼりますが、その全パターンのCS進出ナンバーをあらかじめ算出しておくのです。「明日○○が勝って、△△が負ければこうなる」というのが前もってわかるので、記者が記事を書くうえで大いに役 立ちますよ。この算出結果は今のところ社内用ですが、うまい活用方法を考えて外に出していければと考えています。

吉永様_作業風景
使いやすいインタフェースで誰でも操作できる「CS進出ナンバー計算システム」。
編集局運動部のメンバーが毎日ローテーションで使っている。

今後の展開についてお聞かせください。

川上 アメリカ大リーグの順位表には「エリミネーションナンバー」といって、あと何敗するとプレーオフに進出できなくなるという数字があります。こうしたCS進出ナンバーとは逆の数字も算出できるようにしたいと思っています。日本ではまだ出されていない数字なのでインパクトがありますし、何より「今日負けたらCSに行けない!」とわかれば、ファンの応援にも熱が入ります。ぜひ数理システムの知恵を借りながらシステムを発展させて、プロ野球のさらなる盛り上がりにつなげていきたいですね。

ニュースサイト「時事ドットコム」に配信されたある日の CS進出ナンバー

おわりに

今回は、数理計画のためのモデリング言語、多様な求解アルゴリズム、及び GUI 開発環境を備えた汎用数理計画法パッケージ「Numerical Optimizer (NUOPT)」を活用していただいた事例についてご紹介しました。 機械学習を活用した課題解決やNumerical Optimizerについて、少しでも興味をお持ちいただけたでしょうか?製品について詳しく知りたい方は、Numerical Optimizerのページ、最適化の事例や技術概要については数理計画・最適化のページをご覧ください。

また、数理最適化の簡単な導入から始まり、弊社の数理最適化ソリューションのご紹介や数理最適化パッケージ Numerical Optimizer のご紹介までをコンパクトにまとめた、オンライン形式のセミナーも定期的に行っております。詳しくはこちらをご覧ください。

また、弊社NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数理科学の技術を基に、お客様のご要望に合わせた受託開発を承っております。「データはあるから何となく何かをやりたい…」というきっかけでも大丈夫です。お客様が解きたい課題を弊社技術スタッフが一緒に課題整理を行いながら、ご要望に合わせたご利用形態で課題解決をサポートします! ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談いただけると幸いです。