株式会社明電舎 様 ヒヤリハット情報のデータ分析による製造業の安全管理事例

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職場の安全と健康をデータサイエンスで考える

ヒヤリハット情報のデータ分析による製造業の安全管理事例

2022年4月15日 10:00

一人ひとりが心身ともに健康で、やりがいを持って働く環境へ。モノづくり企業として120年以上の歴史を誇る株式会社明電舎様では、2019年、健康経営宣言を策定し、各種の取り組みを進めている。酒井卓也様は、エンジニアとして培ったデータ分析のスキルを活かし、現在所属している安全衛生部門にてNTTデータ数理システム(以下、数理システム)のツールを利用した職場の安全教育や社員の健康づくりに取り組んでいる。

Profile:株式会社明電舎 様
1897年創業、ものづくり企業として電力・エネルギー分野、電鉄システム、水環境システム、産業向け機器などの事業を幅広く展開。2019年に健康経営(*)宣言を行い、社員とその家族の健康を組織で支える活動を推進。経済産業省が認定する「ホワイト500・健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」「健康経営銘柄2021」に選定されている。

*「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です
生産統括本部 安全衛生管理部
安全衛生統括課 主任
酒井 卓也 様

統計が分かると、数理システムのツールはもっと使えるようになる

開発から労務関連へキャリアチェンジされたと伺いました。

酒井 当初、私はエンジニアとして主に電力監視制御システムの開発に携わっていました。その後、当社で働いている人やその働き方をサポートする業務に携わりたいと思うようになりました。独自に勉強を重ねて2006年に産業カウンセラーの資格を取得し、2009年に環境戦略部に異動しました。さらに通信制大学の心理学部公認心理士コースで学び、3年かけて卒業しました。2019年から安全衛生管理部で社員の安全や健康の維持・向上にあたっています。現在の私の主な担当は、労災の防止や労働者のストレスチェックです。
数理システムとはエンジニア時代からのつき合いで、当時はニューラルネットワークを用いて電力の需要予測を行い、発電の最適な運転計画を作成するシステムを同社と開発していました。今の部署へ移ってからも、業務に必要な計算や解析に数理システムのツールを利用したり、アドバイスをもらったりしています。

統計を学び直す機会があったことが、大きな収穫になったそうですね。

酒井 大学で心理統計の講義があり、そこで基礎的な知識を勉強し直したところ、統計学の有用性、可能性に改めて気が付いたのです。データ解析はエンジニアのときから経験していましたが、当時の分析対象は製造に関する「モノ」のデータだけ。それが心理統計を学んだことで視点が「人」にも広がりました。
さらに、統計学を学び直すことで、それまで使っていた数理システムの各種ツールの機能がより理解できるようになったのです。ツールには統計学の知識が活用された有用な分析機能が揃っていて、このような目的に対してはこの分析機能を使うとよい、といったようにデータ解析のアイデアが次々と湧くようになりました。

安全と健康の専門的な知識に、エンジニアの経験を加えて

当社のツールを使った解析の事例を教えてください。

酒井 事故の報告書をハザード(危険源)の種類によって自動分類する試みを、テキストマイニングと機械学習の組み合わせにより行っています。工場では、発生した事故やヒヤリハット情報が日々蓄積されます。それらは安全管理や事故予防の重要な資料となるもので、安全教育などに利用できます。例えば、報告書を事故原因などによって分類できれば、それぞれに対して適切な予防策を講じることができるはずです。しかし、大量の文章を人手で確認するのは大変労力のかかる作業で、これまでは活用がなかなか進んでいませんでした。
そんなとき、数理システムのユーザーコンファレンスでの研究発表[1]を見て、「これだ!」と思ったのです。その研究は、大学で発生した事故情報を Text Mining Studio(以下、TMS)で分析・分類し、事故抑止に活用しようとするものでした。この手法に Visual Mining Studio(以下、VMS)に搭載されている機械学習機能を組み合わせることで、分類の自動化ができそうだというアイデアが、頭の中に浮かんできたのです。

TMS と VMS はどのように組み合わせて使うのでしょうか。

酒井 各報告書の自由記述をもとに、「顕在している」「潜在している」「予測される」という3つのハザードに自動で分類することにチャレンジしました。
まずは担当者が報告書を読み、ハザード分類を与えて教師データを作ります。そのデータをTMSで形態素解析した上で数値に変換、さらに VMS のサポートベクターマシン(Support Vector Machine)で学習させることで、ハザードを自動分類するモデルを作りました。教師データの作成に時間はかかりますが、精度の良いモデルを構築できれば、大量のデータを短時間で自動分類することが可能になります。
まだ取り組みを始めたばかりですが、ある程度の分類が可能であるという手応えは掴めています。ハザード分類以外にも、事故の発生場所や時間帯など、別の項目の分類にも応用できそうです。


このほかにもさまざまなアイデアをお持ちだそうですね。

酒井 社員の健康情報のデータも活用できないかと考えています。例えば社員のストレスチェック等の社会心理的なデータと事故の相関性を分析して安全教育に活用したり、事故の予測などにつなげたりできないかと考えています。TMS や VMS を使って、さまざまなデータの分析に取り組んでいるところです。産業カウンセラーのスキルや心理学の知見と、データ分析の技術を組み合わせることにより、安全性の向上や働く人の心の問題を解決していきたいと考えています。
安全や人に関するデータは当社に多く蓄積されています。私が所属する安全衛生管理部ではこれまでもさまざまな調査を行い、各種対策を行ってきました。しかし、モノづくりの現場と比較して、データの活用についてはあまり進んでいなかった。私も部署のスタッフと勉強会を開くなどして、データ活用の普及に努めているところです。そのような活動を通して、エビデンスベースでの考え方、判断の仕方を根付かせていくことで、これまで以上に効果的な施策提言やその実施につなげていけると思っています。

おわりに

今回は、簡単な操作で本格的なテキストマイニングが行えるツール「Text Mining Studio(TMStudio)」および「Visual Mining Studio」を活用された事例についてご紹介しました。
2021年10月に「Visual Mining Studio」の後継製品として、AI・データ分析を内製化できるデータ分析プラットフォーム「Alkano」をリリースしました。それぞれ、定期的に製品について紹介するオンラインウェビナーを無料開催しておりますので、気になった方はぜひご参加いただけると幸いです。

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また、弊社NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数理科学の技術を基に、お客様のご要望に合わせた受託開発を承っております。「データはあるから何となく何かをやりたい…」というきっかけでも大丈夫です。お客様が解きたい課題を弊社技術スタッフが一緒に課題整理を行いながら、ご要望に合わせたご利用形態で課題解決をサポートします!ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談いただけると幸いです。

監修:株式会社NTTデータ数理システムNTTデータ数理システムは「数理科学とコンピュータサイエンスにより現実世界の問題を解決する」をミッションとして設立され、35年以上にわたり皆様の課題解決を支援してきました。機械学習、統計解析、数理計画、シミュレーションなどの数理科学を背景とした技術を活用し、業種・テーマを問わず幅広く仕事をしています。

株式会社NTTデータ数理システム
〒160-0016 東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館1階
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