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- 生産コスト削減、品質向上を実現する製造トラブル自動検出ソリューション
製造における意思決定の自動化を 統計解析の手法で実現したい
2021年7月16日 17:00
株式会社NTC様では、製造業向けのソリューション「LOSSØ(ロッソ)」を展開している。その中で、データ分析プラットフォーム「Alkano(アルカノ)」を活用し、製造業の顧客から新たな注目を集めている。
2021年7月16日 17:00
株式会社NTC様では、製造業向けのソリューション「LOSSØ(ロッソ)」を展開している。その中で、データ分析プラットフォーム「Alkano(アルカノ)」を活用し、製造業の顧客から新たな注目を集めている。
佐藤 LOSSØ は「ロス(Loss)ゼロへ」という意味を込めた、製造トラブル自動検出ソリューションです。センサーやゲートウェイを使い工場内の設備から各種データを集め(センシング/Edge)、それらのデータを分析しやすいように加工(ETL[1])します。蓄積されたデータをもとに設備の稼働を把握し、故障や製品不良の検知(データ解析)・予測を行い、解析された結果はダッシュボードやパトランプなどによって現場の作業員に通知(見える化)されます。このように LOSSØ は製造業様のIoT化に必要な全ての要素(センシング/Edge、ETL、データ解析、見える化)を一気通貫でご提供可能なソリューションです。生産コスト削減や品質向上などで具体的な目標を設定し、そのためにどのデータを収集し、どのような解析を行うかべきか、コンサルティング的な立場から製造業様のIoT化に向けたトータルソリューションとして LOSSØ をご提案しています。
森 金属加工品の製造工程で、良品を効率よく生産したいという例でご説明しましょう。金属加工には加熱して冷却するという熱処理の工程があります。その工程に温度センサーを入れ、温度データを製品ごとにトラッキングし、集めたデータを解析します。加工する金属の素材によって適切な温度は異なりますが、ある金属に熱処理を加える場合、800℃±3%以内に加熱し、素早く500℃±5%以内に冷却すれば良品、それ以外の条件の組み合わせになると不良品発生の割合が高まるといった傾向が具体的に分かってきます。その結果をもとに、正常な条件(加熱温度、冷却温度、冷却時間)を外れた製品は、人の目でしっかりと確認するようにします。一方、正常な条件で熱処理された製品であれば、厳密な検査は必要ないので、品質チェックの簡略化が可能です。このように、製造工程を詳細に確認し、要所にセンサーを配置することで、そこからのデータを体系立てて解析・理解することが可能となり、工程を改善することができます。
佐藤 お客様が描くゴールに合わせてどのデータをどのように集め、どう分析するか、当社で統計の資格を持つスタッフがご提案していますが、その分析の際にNTTデータ数理システムの Alkano を活用しています。それによって得られたロジックをモデル化(ルール化)し、LOSSØ の業務ロジックとして組み込むことで生産工程の自動化を実現します。LOSSØ では、各種センサーと各解析ツールを連係する仕組みを独自に構築しました。これによりデータ収集と分析をシームレスに実現しています。
佐藤 分析フローを用いてデータの加工、分析を進めていくため、お客様にご説明しやすいです。機械学習の手法で分析を行う際に使用しています。決定木を使用することが多いですね。決定木は予測結果を木構造として視覚化できるモデルであり、分析の結果についてもお客様に容易に納得していただけます。先ほどの品質改善の例ではセンサーデータと、ラベルとなる人による検査結果のデータをマージし、それを決定木の機能を使って分析します。すると、加熱温度が何度あれば加工条件として問題がないのか、あるいは何度から何度までの範囲であると不良品が発生する可能性が高くなるのかが、ひと目で分かるようになります。このような解析ツールは他になく、まさに“一目惚れ”で導入を決めました。
森 Alkano は、既にお客様がお持ちの Python やRスクリプトの実行をはじめ、高い拡張性を持ち、業務に組込みしやすくなっております。 Web API での分析フロー実行など、LOSSØとの連携もよりスムースになっており、Alkano と連携することで LOSSØ がパワーアップしております。
森 LOSSØ は構想から5年、リリースから約3年経ち、導入件数が着実に増えてきました。ある工場に部分導入し、お客様が狙った結果を得ることができたので、他の工場にも横展開で導入しようといった事例もあります。今後、こういった成功事例がさらに出てくるでしょうし、導入にますます拍車がかかるものと見込んでいます。NTTデータ数理システムのサポートにより、各種解析ツールを使った分析手法だけでなく、データアナリストなど社内の数理科学分野の人的リソースも充実しました。
森 製造業における人間の意思決定を自動化したい。これが、LOSSØ のコンセプトです。製造業には属人的な作業がいまだに多くあり、それをセンシングや通信などの技術を使って可視化しているのが現状ではないでしょうか。私たちはさらに、ビッグデータや数理科学の手法を組み合わせて、これまで作業員や管理者が現場で判断していたことまで一気通貫で自動化したい。そうすれば現場は最小限の人員で最適な稼働が可能になりますし、人間はより高度なロジックの精度向上に集中できるようになります。そのサイクルを回すことで生産の能力や効率をいっそう高めていく。それが LOSSØ がご提供する本来的な価値だと考えています。これを実現するには、システムもリソースも一段とレベルアップが必要となりますが、NTTデータ数理システムのサポートにより、理想に近づけていきたいと考えています。
今回は、AI・データ分析を内製化できるデータ分析プラットフォーム「Alkano」を活用された事例についてご紹介しました。
定期的に製品について紹介するオンラインウェビナーを無料開催しておりますので、気になった方はぜひご参加いただけると幸いです。
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また、弊社NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数理科学の技術を基に、お客様のご要望に合わせた受託開発を承っております。「データはあるから何となく何かをやりたい…」というきっかけでも大丈夫です。お客様が解きたい課題を弊社技術スタッフが一緒に課題整理を行いながら、ご要望に合わせたご利用形態で課題解決をサポートします!ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談いただけると幸いです。