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Profile:株式会社NTTデータ・スマートソーシング 様
「IT × BPO × AI/RPA」を高度に融合した各種サービスを提供し、お客様の事業プロセスの最適化と事業価値の最大化に貢献している。従業員数1,963名(2022年4月1日現在)。東京都江東区豊洲に本社、青森県青森市、岩手県石巻市、石川県金沢市、大阪府大阪市、愛知県名古屋市、沖縄県沖縄市にコンタクトセンターやBPOセンター、DX の拠点を持つ。
ここまで深掘りできる分析ツールは、ほかにない
クラウドやAIなどの領域で先端技術の開発をされているそうですね。
飯久保 当社は「IT × BPO × AI/RPA」をコンセプトに、最新の技術と高度な専門性を組み合わせた各種サービスをご提供しています。具体的にはお客様業務を支援するシステム構築やアウトソーシング、コールセンターの構築・運用から業務改善のご提案、デジタルマーケティングなどです。お客様とともに成長することが我々の目標です。
私はその中で研究技術開発の担当として、“次の技術” をいち早くつかみ、それらをお客様や当社内で活用するための情報調査や技術開発を行っています。現在はクラウド、AI、オートメーションをコア領域として、開発のスピードアップや生産性の向上につながる自動化などをテーマに、実際のビジネスで価値を生む技術やサービスの創造に取り組んでいます。VOC分析もそのひとつです。
VOC分析でのTMS導入の決め手は「情報の深掘りによる本質の発見」だとお聞きしました。
飯久保 VOC活用のニーズが最近高まっています。AI を用いた音声認識技術の進化により、コールセンターに寄せられたエンドユーザーの声がテキストデータとして得られるようになったので、それを分析してサービス品質向上や商品開発のヒントになる情報を得たいと考えるお客様が多くなりました。そこでエンドユーザーの声をとことん深掘りして分析できるツールが必要だと判断し、2019年に TMS を導入しました。TMS はテキスト情報をとことん深掘りでき、そこから得られる情報量は圧倒的です。私は以前のプロジェクトで TMS に触れており、そのときから強く印象に残っていました。導入にあたって他製品も改めて試してみたのですが、ここまで深掘りできるツールはほかにありませんでした。私は“情報の中から「本質」を探り当てたい、そうしないとお客様の業務改善や品質向上につながらない”と思っていましたので、TMS以外の導入は考えられませんでした。
TMS でテキストをどのように深掘りしているのでしょうか。
飯久保 コールセンターのテキスト情報を TMS で分析し、顧客満足度など、エンドユーザーの反響をレポートにまとめクライアントに月次報告する。これが当社のVOC分析業務の一般的な流れです。顧客満足度の評価方法は当社が独自に定義したもので、テキスト内に現れる語句をあらかじめ設定した辞書に基づきポジティブ/ネガティブに分けてスコア化したものを用います。通常は顧客満足度を主に見ますが、それが変動したとき、原因を探るために単語頻度分析、係り受け頻度分析、特徴表現抽出の順でテキストを深掘りします。
まず、単語頻度分析により問い合わせのトレンドを確認します。その上で、トレンドの語句を係り受け頻度分析することにより、問い合わせが要望なのか苦情なのか、その内容や方向性をつかみます。そして特徴表現抽出により、問い合わせ内容の詳細をより具体的に把握します。こうした深掘りにより、コールセンターの真の課題が見つかったり、新商品発売時のエンドユーザーの反響といった、マーケットの動向をつかんだりすることができます。
利用者サポートデスク(電話)における TMS を利用した顧客満足度評価 報告例
分析精度向上のために「類似抽出アドオン」をご利用ですが、その活用方法について教えてください。
飯久保 例えば「□□」「■■」「△△」という3つの単語が TMS で切り出されたとき、「□□」と「■■」は同じ意味なのに別の表現になっているときがあります。通常、これらの単語は別のものとして分析されますので、不正確な結果が得られてしまうことがあります。類似抽出アドオンを使うと、「□□」と「■■」を簡単に1つにまとめることができるので、より正確な分析結果を得ることができます。
文字起こしした音声テキストの整形に「音声テキストアドオン」をご利用されていますね。
飯久保 これまで、分析するテキスト情報はコールセンターのオペレーターが要約し、入力したものが主流でしたが、最近は録音した音声ファイルから自動文字起こしされたテキスト情報が増えました。オペレーターの主観や先入観が入らず、エンドユーザーの「生の声」をそのまま分析して多くの情報が得られるというメリットがあります。一方で、「あの」「ええと」といったフィラー(つなぎ表現)や、オペレーターの相づちなど、分析のノイズとなる言葉もデータに残ってしまうため、それらを除去・整形する必要があります。TMS の基本機能でもある程度は整形できますが、音声テキストアドオンであればさらに精細かつ柔軟に整形できます。自動文字起こしのテキストでも、柔軟にマイニングできています。
顧客満足度の変化に応じ、その要因を突き詰めていく
TMS による分析の成果や導入のメリット、コスト削減に繋がったポイントは何でしょうか。
飯久保 TMS により顧客満足度のスコアを示せるようになり、それが一目瞭然で分かりやすいと好評です。クライアントが気にされている顧客満足度や応答率、全体の件数の変化を一覧し、そこからさらに気になった部分をTMSで深掘りして原因や課題を確認できる点も評価が高いです。こうした実績を別の入札案件でポイントのひとつとして評価いただき、新たに獲得できた案件もあります。
また分析担当者にとっては工数削減が大きなメリットです。以前、Excel を使って形態素分析や分かち書き、さらに係り受け頻度分析などを行っていたときは、約4万件のデータ処理に20時間程度はかかっていました。それが TMS なら長くても2時間程度で済みます。さらに、TMS により分析作業を標準化できるので属人的にならず、私以外のスタッフや他の拠点でも同じく高精度な分析が可能です。実際、TMS による分析とレポーティングの業務はここ東京のほか、青森にも展開しています。分析拠点をさらに増やす計画も進んでいます。私は実は文系出身なのですが、その私でも TMS は存分に使えます。この優れた操作性は、全国に展開する上でのハードルを下げてくれると感じています。
次の構想として「Alkano」導入をご検討と聞きました。
飯久保 これからも新たな技術を積極的に活用し、新たな価値創造を追求したいと考えており、次のステップを模索しています。コールセンターから収集したテキスト情報とその分析結果のほか、セールスやマーケティングから得られた数値データなどもかなり増えてきました。私はそれらを関連づけて分析できる環境が作れないかと考えています。それができれば、例えばあるサービスの新規会員獲得を目指して各種プロモーションや施策を展開した際、マーケティング関連のデータやコールセンター問い合わせを紐付けて分析して、どのような施策がターゲットにどのような行動を起こさせたのか、効果測定をより具体的に行うことができるはずです。NTTデータ数理システムからリリースされた新しいデータ分析プラットフォーム Alkano であれば、それが可能だと感じており、注目しています。
おわりに
今回は、簡単な操作で本格的なテキストマイニングが行えるツール「Text Mining Studio(TMS)」を活用された事例についてご紹介しました。定期的に製品について紹介するオンラインウェビナーを無料開催しておりますので、気になった方はぜひご参加いただけると幸いです。
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また、弊社NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数理科学の技術を基に、お客様のご要望に合わせた受託開発を承っております。「データはあるから何となく何かをやりたい…」というきっかけでも大丈夫です。お客様が解きたい課題を弊社技術スタッフが一緒に課題整理を行いながら、ご要望に合わせたご利用形態で課題解決をサポートします!ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談いただけると幸いです。