株式会社プラグ 様 テキストマイニングツール・AIによるパッケージデザインの消費者動向の解析事例

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テキスト解析により、短期間・低コストで消費者の動向をつかむ

テキストマイニングツール・AIによるパッケージデザインの消費者動向の解析事例

2022年4月15日 13:00

リサーチ会社とデザイン会社が合併するという、異色の設立背景をもつプラグ様。リサーチ部門による情報収集力・データ処理能力と、デザイン部門による企画力や情報の可視化技術を組み合わせ、クライアントが持つ課題に対して各種提案やコンサルティングを行っている。2017年からはテキストマイニングツール Text Mining Studio(以下、TMS)を導入し、その体制をさらに拡充。抽象的になりがちなデザイン評価を、TMSを活用することでより具体的に、かつ短期間・低コストで行うことに成功している。

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Profile:株式会社プラグ 様
2014年、豊富な実績を持つリサーチ会社とデザイン会社の合併により発足。食品、飲料、化粧品、電化製品、金融サービス、医療器具など幅広いカテゴリーの商品に関して、新商品の企画やパッケージ開発、商品改良などに必要な調査を展開。パッケージデザインランキングなど商品企画やデザイン開発のためのサービスも提供している。
リサーチ部
リサーチディレクター
松本 賢二 様

ことばで、デザイン評価のエビデンスを得る

御社のビジネスについて教えてください。

松本 私はリサーチ部門に所属し、主に消費財やサービスに関する調査を担当しています。当社のリサーチは、デザイン部門のスタッフが参画する点に大きな特徴があります。例えば、デザイン評価の調査活動において「パッケージの世界観はどういったものが好みですか」と消費者に尋ねる際、実際にデザイナーが具体的なビジュアルに起こし、それをもとに質問します。そのため、消費者は具体的なイメージに基づき直観的に回答することができるようになり、消費者の嗜好をより正確に反映したデータが得られます。クライアント様にも具体的なビジュアルとともに報告するため、結果がブレなく伝わります。さらに、リサーチ結果の報告に加え、デザインの提案までサポートしています。

パッケージデザインに対する評価を TMS で解析されたそうですね。

松本 当社では、「パッケージデザインランキング」という独自調査を2015年から定期的に行っています。年2回、市場で発売された新商品のうち500〜600アイテムのパッケージデザインに関して、「好き」「好きではない」といった好意度を5段階から選択してもらい、さらにその理由について自由記述で回答してもらう調査で、1アイテムにつき約1,000人分のデータを蓄積しています。
あるクライアント様から商品のパッケージデザインに関するリサーチ依頼があった際、このデータを活用してレポートしました。クライアント様の商品とその競合商品40アイテム以上を対象としたアンケートの自由回答文40,000件以上を抽出し、TMS で解析しました。ことばの出現頻度の分析はもちろん、共起関係の分析や対応分析など、TMS が持つ各種機能を利用し、各パッケージデザインに対する消費者の評価傾向をレポートにまとめました。
このリサーチで得たノウハウをもとに、自社サービスも拡充しました。パッケージデザインランキングの調査結果は当社Webサービスとして公開していますが、そこに「テキストマイニング分析」を新機能として追加したのです。
食品や飲料、調味料、化粧品、トイレタリー、医薬品など20以上のカテゴリーで約7,600アイテム(2021年現在)に関してTMSによる分かち書きデータが登録されており、ユーザーの皆様がそれぞれの目的に応じた分析を行っていただくことができます。

貴社が展開するAIによる評価サービスにもTMSが活用されているそうですね。

松本 ディープラーニングによってデザインの評価を予測するWebサービス、「パッケージデザインAI」を2019年からご提供しており、そこにも TMS による解析結果を利用しています。6,000枚のパッケージ画像と、自由回答文に含まれる「かわいい」「シンプル」など19のイメージワードの出現傾向を学習させることで、任意のパッケージデザインに対する評価結果を予測できます。
このサービスを利用すると、例えばパッケージのデザイン案を「好き」と言ってもらえそうか、商品企画の狙い通り「おしゃれ」と感じてもらえそうかといった評価の予測を約10秒で行えます。東京大学大学院の准教授の協力により自社開発しました。
このサービスは、パッケージデザイン開発時の支援ツールとしてご利用いただいています。メーカーなどで新商品を企画する際は、通常、開発の初期段階からパッケージデザインを何十案も起こします。一方で、コストの関係上、実際に消費者に対してリサーチを行うことができるのは、あらかじめ絞り込んだいくつかの案のみです。しかしながらこのサービスを使うと瞬時にパッケージデザイン案を評価できますので、これまでは絞り込みの過程で不採用となってしまっていたデザインなどについても評価を行うことができます。

TMS が、これまで保有していたデータをより価値あるものに変えてくれた

各種サービスの評価はいかがですか。

松本 冒頭のリサーチ受託業務に関しては、以前は1つ1つのアイテムについてその都度時間をかけて調査・分析を行っていましたが、当社内にすでに蓄積されたデータを TMS で解析することにより、定量的なエビデンスに基づいたリサーチを短期間・低コストで実現可能になりました。特にコストは従来の5分の1程度で、クライアント様からは「この短期間でこのような充実したレポートができるのか」と驚かれました。
また、「パッケージデザインAI」は「ディープラーニングビジネス活用アワード(2019年、日経クロストレンド/日経クロステック主催)」特別賞を受賞するなどの評価をいただきました。あるスナック菓子メーカーでは、このサービスを活用してポテトチップス商品のパッケージをリニューアルし、1.3倍の売上増加を達成されたそうです。

TMS の使い勝手をお聞かせください。

松本 2017年に TMS を導入しました。当時、フリーツールで少しずつテキストマイニングを始めていたのですが、より本格的なツールで解析することで、リサーチサービス全体の充実を図ろうと考えたのです。導入検討時の調査で、テキストマイニングは分かち書きの性能やツールの使い勝手などが、分析業務にかかる時間や解析結果の精度に大きく影響することが分かり、それらの点で評価の高かった TMS を選びました。未知語を含む文書であっても適切に分かち書きできる機能や、各種辞書やフィルタなどを簡単に設定できる機能などにより、簡単な操作ですぐに結果を得られるのが魅力です。さらに、分かち書きの結果や各種分析結果のデータを汎用的な形式で出力できるので、当社が保有する他ツールとの連携も容易です。

今後、どのようなサービス展開をお考えですか。

松本 データは、取得する時代から集まる時代になったといわれています。そのような状況において、リサーチに求められる役割も変化していると思います。消費者関連の調査データ分析だけにとどまらず、クライアント様の商品開発に関わるより幅広いデータの分析、またそれらを踏まえた具体的な戦略の提言など、これまでよりも多様なご要望・課題にコミットメントしていく必要性を強く感じています。そうした中で、今回の TMS によるテキストマイニングは1つの成功事例になりました。これをきっかけとしてSNSデータ、POSデータ、商品トラッキングデータなども取り入れ、クライアント様にさらに価値ある情報をご提供したい。そのためにも、TMS だけでなく、今後はデータマイニングツールなども導入し、データ解析の能力や幅をさらに充実させていきたいと考えています。

おわりに

今回は、簡単な操作で本格的なテキストマイニングが行えるツール「Text Mining Studio(TMStudio)」に関する対談をご紹介しました。定期的に製品について紹介するオンラインウェビナーを無料開催しておりますので、気になった方はぜひご参加いただけると幸いです。

▼現在開催中のセミナー
Text Mining Studio 紹介セミナー

動画アーカイブページで、松本様にパッケージデザインに関するアンケート分析やパッケージデザインAIの開発のためのテキストマイニング事例をご紹介していただいた動画を公開しています。よろしければ併せてご覧ください。

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監修:株式会社NTTデータ数理システム 機械学習、統計解析、数理計画、シミュレーションなどの数理科学を 背景とした技術を活用し、業種・テーマを問わず幅広く仕事をしています。
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