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誰も気付かなかった不具合を、 テキストマイニングであぶり出す
2020年8月17日 17:55
独立系の検証専門企業として35年以上にわたり、ソフトウェアやそれを利用した各種機器、ITシステムなどの仕様や機能、性能を評価してきたベリサーブ。その豊富なノウハウや経験と、Text Mining Studio により、市場の声を分析するまったく新しいサービス「VoiCAS(ヴォイキャス)」を開発した。
1983年、ソフトウェアのテストサービスを開始、2001年会社設立。独立系の検証専門企業として1000社を超える企業の各種製品を検証し、その品質や信頼性の向上に貢献している。
複雑に絡む不具合の真の原因を、ユーザーの声をもとに解明する
新しいサービス VoiCAS の概要をお聞かせください。
吉川 以前、当社のお客様(以下、お客様)から「コールセンターから不具合のクレームが上がってくるのだが、不具合が再現できず原因がつかめない。なんとかならないか」とお問い合わせを頂いたことが、VoiCAS 開発のきっかけです。原因をつかむためには不具合を再現する必要がありますが、最近の製品はネットワーク化にともなって他社製品と連携して作動することが多く、一製品の視点だけでは不具合の再現もままならない場合が多くなっています。そのため真の原因が特定できず、クレームの元となっている不具合を解消できない、何度も同じクレームを受けるといったことが起きています。こうした状況を改善するために、私たちの検証ノウハウを役立てられないかということがこのサービスの発端となっています。実際、これまで再現できなかったある製品の特定の不具合について、その真因を VoiCAS で探ることにより再現できたといった成果をあげています。
この新サービスの仕組みを教えてください。
吉川 このサービスではまず、その製品の利用者(以下、ユーザー)の声を集め Text Mining Studio を使って分析し、そこから不具合の仮説を構築することから始めます。そこで構築した仮説をもとに不具合を再現するための実験計画を立て、実際に実証実験を行い、その結果により仮説を立証し、真因を明らかにしていきます。仮説が立証されなかった場合は、別の仮説を構築し、再度実験を行います。私たちは検証業務の技術者を「システムや機器の医者」と表現しています。実際の症状からどんな病気なのかを考察し、その原因や問題点を明らかにし、その処方せんを作るというイメージです。VoiCAS も同様にその技術を使うことになります。
本当の問題は、つながりのない言葉の裏側に隠れている
Text Mining Studio は、どのように利用されていますか。
吉川 コールセンターに寄せられたユーザーの言葉(VOC)のほか、SNS 上(ネットの口コミサイトや掲示板、Twitter や Facebook など)で交わされている言葉、これらを Text Mining Studio を使って総合的に分析しています。ことばネットワークで分析するとコールセンターの声は「動作しない」「つながらない」といった抽象的な言葉とともに主に製品をとりまく現象が見えてきます。一方、SNS の言葉は「こうしたら動作した」「設定をこう変えたらつながった」といった具体的な不具合回復のための条件のようなことが見えてきます。両者を照らし合わせて分析するわけですが、ここでは独自の手法をとっています。それは、Text Mining Studio のことばネットワークの線が【つながっていない】ところを見ているのです。線がつながっている部分は情報としては顕在化しており、そうではないところ、見えてこないところこそ、これまで気付かなかった問題が隠れています。その見えない原因をあぶり出すために Text Mining Studio で今の状況を並べ、私たちは透かすように見ているわけです。当社にはこれまで数多くの検証サービスをご提供してきた中で培ってきたノウハウ、スキル、そして経験があります。VoiCAS は、こうしたリソースがあったからこそ実現できたサービスといえます。
Text Mining Studio の使い勝手はいかがでしょうか。
吉川 辞書登録がとても使いやすくて気に入っています。分析では気になった言葉、キーワードとなりそうな言葉を次々とチェックしていく作業がありますが、その際、バッファ登録機能により言葉をどんどん一時保管(登録)しておくことができます。言葉を見つけるごとに、わざわざ辞書を開いて登録したり、やっぱり不要だからといって消したりする、などの無駄な手間が省けるので作業がテンポ良く進みます。他のテキストマイニングツールも試してみましたが、辞書登録機能がここまで便利なツールは Text Mining Studio 以外にはありませんでした。また VoiCAS では最終的には解析者による人的な解析を行いますが、そこに至るまでの基礎的な分析は人間がやるより機械処理の方が早いうえに可視化がスムーズですし、本来の解析に解析者の労力を集中することができ、それもメリットになっています。
開発レビューをはじめコールセンター、営業、企画部門などに
VoiCAS の今後のサービス展開をどのようにお考えですか。
吉川 VoiCAS により得られるユーザーの声をもとにした分析結果は、さまざまなシーンで役立てることができます。例えば開発の現場で設計レビューのほか、コールセンターでオペレーターの対応品質を向上するための資料やマニュアルを作成したり、製品の取扱説明書にユーザーが困りそうなことをあらかじめ FAQ 形式で記載したり、さらに営業部門でのユーザーサポートや企画部門でのユーザーニーズのすくい上げなど、さまざまな利用が考えられます。これ以外にも、お客様のビジネスによってはこれまでにない活用方法も見つけられそうです。私たちは VoiCAS を活用することで、お客様企業とユーザーとの関係をさらに親密にしていくお手伝いをしたいと考えています。まずはお気軽にご相談いただければと思います。
おわりに
今回は、簡単な操作で本格的なテキストマイニングが行えるツール「Text Mining Studio(TMStudio)」を活用していただいた事例についてご紹介しました。テキストマイニングを活用した課題解決や Text Mining Studio について、少しでも興味をお持ちいただけたでしょうか?製品について詳しく知りたい方は、Text Mining Studioのページや Text Mining Studio 関連情報のページをご覧ください。製品紹介のオンラインウェビナーも定期的に開催しております。
また、弊社NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数理科学の技術を基に、お客様のご要望に合わせた受託開発を承っております。「データはあるから何となく何かをやりたい…」というきっかけでも大丈夫です。お客様が解きたい課題を弊社技術スタッフが一緒に課題整理を行いながら、ご要望に合わせたご利用形態で課題解決をサポートします!ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談いただけると幸いです。
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