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Profile:株式会社ヘルスケアシステムズ 様
名古屋大学発のベンチャーとして2009年設立。減塩検定や腸内環境など健康や美容に関連するテーマを手軽に検査できる郵送検査事業が好評で、20種類以上を発売。健康食品メーカーなどとのコラボレーションによる検査の企画・開発・実施から、そこで得たデータをもとに食品成分や健康行動が及ぼす効果や影響に関するエビデンス取得なども展開。
データをもとに「自分に合った健康行動」をレコメンドできる会社へ
御社では新たな取り組みを始めているそうですね。
高実子 当社は独自に開発した郵送検査サービスのほか、臨床試験、健康支援などの事業を展開しており、2009年の創業以来、おかげさまで順調に業績を伸ばしています。ビジョンである「世界をもっと楽しく健康に」のもと、生活習慣のミスマッチをゼロにすることを新たな目標に掲げ、そのための取り組みを行っています。運動をしたりサプリメントを選んだりするとき、私たちはそれが適切かどうか分からないまま選択し、その選択がミスマッチになっていることがよくあります。そうならないよう、我々は検査サービスや臨床研究で得たデータをもとにエビデンスを得て、「あなたの健康状態ならこういう運動がいいですよ」「このサプリメントが適していますよ」とレコメンドしたいと考えています。言い替えると、「検査数値」のご提示から「自分に合った健康行動」のレコメンドへ事業を転換していこうとしています。
経済産業省「DX認定制度」の認定を受けたと聞きました。
林 当社には郵送検査キットや臨床研究により、身体状況や健康行動などさまざまなデータが日々蓄積されています。これらを解析することで、お客様に応じた最適な健康行動をレコメンドできるはずです。その実現のために着手したのが「ヘルスケアDX」で、社内データを一元化した基幹システム構築をはじめ、社内全体でデータの活用や解析ができる環境整備を行っています。2022年8月には経済産業省のDX認定制度の認定を受けました。
どのようにDXを推進されているのでしょうか。
林 2019年にICT事業部を立ち上げ、DXの基盤となる新たな基幹システム「OCTA(オクタ)」を開発しました。我々が扱うデータは多種多様で、検査データだけでも複数の形式があるほか、検査キットの品質管理状況、依頼者の個人情報、さらに当社内の流通やサービスのステイタス情報もあります。通常のデータベースでは柔軟性に課題があり、コスト面でも問題があったため、オープンソースのERPによる基幹システム開発を行いました。これにより、ある受注に対してどの検査キットを使い、どのような検査を報告したのか、一元管理が可能となりました。同時に、OCTAに蓄積したデータのビューアとして「Metabase」も導入しました。一般的なBIツールと同様に、ここ半年でどのような検査をいくつ受注したかなど、事前に設定した目的に応じてデータを抽出し一覧できます。今回この環境に解析基盤としてAlkanoを組み込んでいます。
基幹システムと連携するためにAlkanoを導入されたと聞きました。
林 当社では2020年より統計解析ツール Visual R Platform(以下、VRP)を臨床研究部門に導入していました。試験データの解析プロセスを標準化・効率化することが目的で、VRP は我々の期待に応えてくれました。
そして2021年、Alkano のリリースを聞き、ノーコードで容易に解析できることや、API により他の業務システムとも柔軟に連携できること、Webベースで使えることなど、その機能に大変興味を持ちました。これがあれば、VRP で構築した当社のデータ解析環境をさらに推進できます。臨床研究部門以外のどの部署からでも検査データを OCTA から取り出して解析できますし、また R などの統計解析に関する専門知識がないスタッフでも目的に応じた解析が可能となります。我々の DX にぜひ組み込みたいと経営トップに提案、承認をもらいました。
営業や広報でも、業務に応じた価値ある情報提供へ
Alkanoでどのような分析基盤を実現されたのでしょうか。
林 社内のすべての部署で、高い信頼性のもとデータ解析ができる環境を構築しました。お客様からお預かりしたデータの活用には万全の注意が必要です。例えば当社の場合、解析前に必要な手順として研究同意の確認があります。検査データを研究目的で使用することに関してお客様からいただく同意です。解析などに活用する際は同意があるデータのみを抽出する必要がありますが、そのときにオペレーションミスがあると、倫理規定や個人情報保護などで取り返しのつかない事態となります。Alkano であれば OCTA のデータと連携してこのチェックを高い精度で行えるようにあらかじめ設定でき、データの扱いに慣れていない部署で解析する場合でも信頼性を担保できます。
また、Alkano はICT事業部の負荷軽減や本来業務ヘの集中にも貢献しています。これまではデータの抽出や前処理は主にICT事業部のスタッフの担当でしたが、OCTA と Alkano の連携によりそうしたサポート業務を減らすことができました。それによってICT事業部のスタッフは基幹システムの開発に専念でき、それが DX の着実な推進につながりました。
これからデータ解析を活用したいと考えている業務はありますか。
高実子 私は広報を担当しているので、お客様への価値ある情報発信に Alkano を活用したいです。例えば、野菜は体内の余分な塩分の排出を助けてくれる役割がありますが、塩分摂取の多い地域でも野菜を多く食べる人はいて、それが健康や長寿につながっているかもしれない。そのエビデンスを、当社の膨大なデータから Alkano で解析することで発見できるのではないかと期待しています。それを資料化できれば、塩分摂取でお悩みの方に新たなご提案ができますし、お客様の健康生活にとってプラスになると、今からわくわくしています。
私自身は解析の知識がまったくないので、経済産業省のデジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」で基礎的な知識を身に付けることから始めています。営業などこれまでデータ解析と馴染みの薄かった部門のスタッフも、同様にリスキリングを進めています。
今後の抱負をお聞かせください。
林 「世界をもっと楽しく健康に」を実現するには、データ活用をとことん進める以外に方法はないと思っており、そのためにOCTA開発やAlkano導入などで DX を推進してきました。今後、解析の幅を広げるために他の業務システムとの連携を増やしたいですし、解析の新たな手法の追加や精度向上に関してもNTTデータ数理システムには期待しています。
ゆくゆくは、我々のビジョンを日本だけでなく世界ヘも広げていきたいと考えています。そうなると人の生活様式や嗜好も変わるので、解析も最初からやり直しになるでしょうが、基盤がしっかりできていればそれほど難しいことにはならないはずです。そのためにも、私はこのDX基盤構築をしっかり進めていきたいと考えています。
おわりに
今回は、AI・データ分析を内製化できるデータ分析プラットフォーム「Alkano」を活用していただいた事例についてご紹介しました。データマイニングを活用した課題解決について、少しでも興味をお持ちいただけたでしょうか?
Alkano を紹介するオンラインウェビナーを無料開催しておりますので、気になった方はぜひご参加いただけると幸いです。
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また、弊社NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数理科学の技術を基に、お客様のご要望に合わせた受託開発を承っております。「データはあるから何となく何かをやりたい…」というきっかけでも大丈夫です。お客様が解きたい課題を弊社技術スタッフが一緒に課題整理を行いながら、ご要望に合わせたご利用形態で課題解決をサポートします!
ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談いただけると幸いです。