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- アンケート分析にベイジアンネットワークを活用、行動観察で新たな価値を創造
行動観察と BayoLink で ビジネスに新たな視点をもたらします
2021年4月20日 18:00
イノベーション創出の方法論として注目されている行動観察。オージス総研行動観察リフレーム本部様では、その方法論を駆使して業務改革や新商品企画などの新価値創造のためのリサーチとソリューションを提供している。既存の枠組みとは異なる新しい価値軸を創出する一連の業務の中で、定量データ分析に BayoLink を活用し、インサイトにつながる気づきを抽出している。
25年以上にわたってマーケティングリサーチに携わり、様々な業界・業種のマーケティング活動を支援。国内における「行動観察」のパイオニアとして、10年以上にわたって1,000件以上のプロジェクトを実施。様々なビジネス課題の解決と、新たな価値の創出に寄与している。
AI・機械学習を誰もが使える時代~アンケート分析に BayoLink は必須のツール
行動観察とは、どのようなサービスですか。
安松 オージス総研行動観察リフレーム本部では、新たな価値を生む(=イノベーション)ために、各種ソリューション提供を行っています。なお「リフレーム」とは、ビジネスにおいてそれまで常識とされていた解釈やソリューションの枠組み(フレーム)を、新しい視点・発想で前向きに作り直すということです。これまでにない新しい価値をクライアントとワークショップなどで協働し、共創しています。
BayoLink をどのようにお使いですか。
安松 複雑な顧客心理をベイジアンネットワークで表現することです(数理システムユーザーコンファレンス2017Webサイト参照)。その中で、より基本的な活用方法としては、アンケート調査のクロス集計業務に使っています。クロス集計というとエクセルなどの集計分析ツールをイメージされるかと思いますが、BayoLink をあわせて使うと、効果的な分析が非常に短時間でできます。
例えばアンケートで得たデータが30項目あるとすると、2項目のクロス集計は435パターン、3項目のクロスだと4,060パターンにもなります。人的作業で全てを確認することは非現実的ですので、そこから効果的なパターンを見つけ出すのが分析者の腕の見せ所です。しかし、それが上手くいかずいつの間にか膨大に作成したシートと集計表に埋もれて疲弊してしまったという経験は、誰しも一度くらいはあるのではないでしょうか。こうなると、有意な結果を見逃すことも多くなり、結果として非効率でクオリティの低い分析になってしまいます。人的作業では試行錯誤できるパターンは非常に限られ、一般的な集計分析ツールで相関行列を利用したとしても、3項目間になると対応できなくなります。
しかし BayoLink があれば、アンケート結果を投入していくつかのクリックをするだけで、膨大なパターンから、AIC(赤池情報量)などの基準で項目間のネットワークを構築してくれます。その項目間の関係性の強弱は、BayoLink の画面ですぐに一覧できますので、関係の強い順にチェックしクロス集計していけばいいわけです。BayoLink を活用すると、これまで一般的な集計分析ツールで10時間以上かかっていた作業がたった1時間ほどで終了する、そんなイメージです。
このように、AI技術・機械学習だからといって、複雑で高尚な分析だけに活用するのではなく、基礎的な分析においても、BayoLink を使えば圧倒的に時間が短縮され、大幅な作業コストの削減につながります。それだけ費用対効果が十分出せるのではないでしょうか。
BayoLink導入の効果はコスト削減だけですか。
安松 作業効率化によるコスト削減の効果は非常に大きいです。しかし、それだけではありません。人的作業で何時間も何日も作業してシートと表に埋もれて疲弊した状況に比べると、BayoLink で数十分程度で到達する状況では、頭は全然疲れておらずまだまだ冴えていて、「さあこれから!」という感じです。新たなアイデアや発想が次々とわいてくるので、結果、分析結果の質が向上します。
まさにAI技術の現場活用ですね。
安松 これまでは、AI技術・機械学習といえば、データサイエンティストが使うものだったかもしれません。しかし、テクノロジーの進歩により、こうした技術を一般ユーザーが簡単に低コストで使えるようになってきています。近い将来、AI技術・機械学習も、すべての人が使う時代になると思います。BayoLink はお手頃な費用で、操作性もPCが使えれば大丈夫というほど簡単ですので、アンケート分析されているすべての企業にとって、BayoLink を導入しない手はないのではないかと思っています。
行動観察がベイジアンネットワークの活用精度を高める
BayoLink を効果的に使うにも、データ収集が重要だと聞きました。
安松 ベイジアンネットワークは、モデルの中身がブラックボックスではなくホワイトボックスです。中身を人が理解することができるので、項目間のつながりをBayoLink上で見て、モデルの妥当性も確認しています。例えば、BayoLink の結果が現場感覚に対して違和感があり、BayoLink で構築したモデルに問題がある場合は、収集データ(アンケート設計 or 収集方法)が悪い、収集データの整理・加工(離散化、変数選択など)や学習方法が不適切などの可能性があるわけです。この原因の特定に行動観察が有用になります。
まず、その現場感覚が適切か、あるいは、現場感覚のほうがズレていて現場の思い込みになっていないかについては、収集した定量データから判断することは難しいですが、現場を観察して定性情報や知見を積み上げておけば、その妥当性を評価することができます。また、現場感が適切な場合、モデル構造のどの部分が不適切で、例えば「その原因はそもそも収集データが悪く、アンケート設計が不十分で回答データがノイズになっているようだ」などと、行動観察をもとに原因を特定し、モデルを精緻化していくことができます。
今後の展開をお聞かせください。
安松 単発で行われるマーケティング調査データの多くは、一旦分析した後は社内や組織内で埋もれてしまいがちです。コストをかけて収集したデータは、2次利用、3次利用ができるようにしたい。この課題に対して、欠損データの処理に強く、モデル構築の際に目的変数を設定する必要がない BayoLink の特徴を活かしていけると考えています。複数のデータの共通項目を“のりしろ”として、BayoLink で統合的モデルを構築していくイメージです。
ただ、言うのは簡単で“のりしろ”を設定し学習させればモデルとしては融合できますが、それがビジネス現場で活用できるかどうかは別です。実践活用できるモデルにするには、どのようなデータを収集すればよいか、そして同時に、どの「データを捨てる」かなど、学習データの選定が重要になります。東京大学の鈴木大慈先生も「数理システムユーザーコンファレンス2017」の基調講演で、無駄なデータがあると良い学習にならないことをお話されていましたが、私の経験から言っても、データが多ければ良いということでは決してないということです。そして、このデータの取捨選択の見極めにも行動観察を活用しています。
統合的なモデル構築が実現すれば、過去の収集データの融合で、ある製品のユーザーが異なる製品をどの程度受け入れるかといった推論や、まったく別の製品を企画するための示唆を得ることができます。BayoLink にはまだまだ可能性があり、それを追求していきたいと思っています。
オージス総研行動観察リフレーム本部様は、御社のイノベーションのベストパートナーとなります。
イノベーションの方法論として今注目されている行動観察などを手法として、オージス総研行動観察リフレーム本部様では商品やサービスの開発、マーケティングリサーチ、コンサルティング、接客や販売、製造現場やオフィス業務の改善などのソリューションサービスを展開されています。安松様のように行動観察のノウハウとデータ解析の技術を備えたスタッフが、クライアント様と同じ目線でイノベーションを目指し適切な提案やアドバイス、フォローを行っています。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
行動観察についてのお問い合わせ先
株式会社オージス総研 行動観察リフレーム本部
TEL: 03-6712-1301(東京本社)
※BayoLink は現在 BayoLinkS に名称変更しております。
おわりに
今回は、大量のデータから依存関係を抽出し、わかりやすいインターフェースでベイジアンネットワークを構築するソフトウェア「BayoLinkS(ベイヨリンクエス)」を活用していただいた事例についてご紹介しました。 ベイジアンネットワークを活用した課題解決や BayoLinkS について、少しでも興味をお持ちいただけたでしょうか?製品について詳しく知りたい方は、BayoLinkS のページをご覧ください。製品紹介のオンラインウェビナーも定期的に開催しております。
動画アーカイブページで、安松様にAI開発の考え方とAI学習のためのポイントを解説していただいた動画を公開しています。よろしければ併せてご覧ください。
また、弊社NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数理科学の技術を基に、お客様のご要望に合わせた受託開発を承っております。「データはあるから何となく何かをやりたい…」というきっかけでも大丈夫です。お客様が解きたい課題を弊社技術スタッフが一緒に課題整理を行いながら、ご要望に合わせたご利用形態で課題解決をサポートします!ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談いただけると幸いです。
http://www.msi.co.jp NTTデータ数理システムができること