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- アルゴリズム講演第二弾『動的計画法に学ぶ数理科学の精神』開催決定!
2021年1月 8日 13:00
2021年1月 8日 13:00
講演会はご好評のうちに終了いたしました。
NTTデータ数理システムでアルゴリズムの探究をしている大槻です。普段はアルゴリズムのおもしろさを伝える活動を行っています。2020年10月には、アルゴリズムについて丁寧に解説した書籍を上梓しました。
大槻兼資著、秋葉拓哉監修:問題解決力を鍛える!アルゴリズムとデータ構造 - amazon
そして、書籍の出版を記念して、記念講演会を2020年10月29日に実施しました。
講演会の動画のフルバージョンをご希望の方はMSIISMお問い合わせフォームからご連絡ください。
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おかげさまで150名ほどの方(オンサイト・オンライン込)にお越しいただいて、活発な議論ができました。特に質疑応答では、「アルゴリズムの経験を積めば、適切な設計技法が思い浮かぶようになるのか」「どのようにしたら、計算量の見積もりができるようになるのか」「数独ソルバーを作るときなど、人間らしい工夫をアルゴリズムに落とし込むときにはどのような点に注意したらよいか」などの、踏み込んだ内容まで議論することができました。私自身も大変刺激を受けて、楽しい時間を過ごしました。
さて、講演会のアンケートでは「動的計画法についても聞きたかった」という意見を多数いただきました。実際前回講演では、時間上の都合から、動的計画法については十分に扱うことができませんでした。そこで今回はアルゴリズム講演の第二弾として、動的計画法 を中心に取り上げたものを開催することを決定いたしました!
講演会はご好評のうちに終了いたしました。
2021/01/22(金)15:00-16:00
オンライン配信:Zoom Webinar
本講演では、動的計画法の基礎から丁寧に紹介していきます。その後は、さまざまな分野の問題に対する動的計画法の適用の仕方を概観します。とくに、「動的計画法を適用するときの部分問題への分割の仕方」に着目していきます。それによって、さまざまな分野の問題が、共通の構造をもつ問題のグループへとパターン化できることを見ていきます。
このように、さまざまな問題に共通な構造を発見して統一的に効率よく扱えるようにするというのは、数理科学の精神そのものです。動的計画法という題材を通して、数理科学の精神を少しでもお伝えできたならば、望外の喜びです。
動的計画法は、数理科学とコンピュータサイエンスを融合することで生まれた手法の一つです(ほかにも、機械学習や数値解析など、AI に関連する手法の多くが該当します)。動的計画法は、聞いたことのない方も多いかもしれませんが大変汎用的な手法であり、現実世界の問題に対しても有効に適用できるケースは数多くあります。
動的計画法とは、解決すべき大きな問題に対して、それをいくつかの部分問題に細かく分割し、それらの解を順次求めていく手法です。その際には、各部分問題の解を再利用できるようにメモ化することがポイントです。詳細に関心のある方は、冒頭に挙げた書籍を読んでいただくか、以下の記事を読んでいただければと思います。
動的計画法に限らず、一般に数理科学的手法は、現実世界のさまざまな問題を抽象化して数学的に取り扱える問題にモデル化し、それを解決へと導くものです。重要なことは、インフラ、サービス、金融、物流、製造、公共、ヘルスケアなど、非常に多岐にわたる問題を統一的に扱えることです。数理科学的手法を磨くことは、時代の流行に左右されない一生モノのスキルを身につけることになるのです。
動的計画法もまた、代表的な数理科学的手法の一つです。それだけではなく、動的計画法には問題解決思考のエッセンスが詰まっているのです。困難な問題を分割して、小さな部分問題を順に解決していく考え方は、現実世界のさまざまな場面に活かせるものです。