村田製作所 共通基盤技術センター × NTTデータ数理システム AI教育プログラムによる開発効率向上事例

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AI を全社で身につける
―データサイエンティスト育成プログラムを実施―

2020年7月17日 10:00

世界的な電子部品メーカーである村田製作所様。技術・事業開発本部に所属する共通基盤技術センターでは、開発効率2倍を目標に AI を全社共通の技術とするべく新たな取り組みに着手。NTTデータ数理システムとともに、Visual Mining Studio(以下、VMS)や Visual R Platform(以下、VRP)、Deep Learner の各ツールを利用したデータサイエンティスト育成プログラムを実施し、次世代を担う人材育成を行っている。

Profile:株式会社村田製作所 様
1944年創業、コンデンサやセンサなど電子部品の製造からそのアプリケーション開発・提供まで展開している総合メーカー。最先端材料の研究開発、広範囲な製品ラインナップ、グローバルな製品・販売ネットワークを強みに成長。チップ積層コンデンサでは40%、ショックセンサでは95%の世界シェアを獲得している。

村田製作所共通基盤技術センターの画像
技術・事業開発本部 共通基盤技術センターの皆さま

センター長 児堂 義一 様(右から2人目)
企画管理課 シニアマネージャー 興膳 義明 様(右から1人目)
企画管理課 チームリーダー 中村 武治 様(左から2人目)
企画管理課 徳本 直樹 様(左から1人目)

AI活用で、従来の2倍の開発効率を目指す

共通基盤技術センターの役割を教えていただけますか。

児堂 我々は、当社の各事業部を横断する技術基盤を整備しています。製品やサービスの開発に今後どんな技術が役立ちそうか、いち早くキャッチアップし、新規技術を当社のプラットフォームに取り入れる活動や、その技術の全社的な普及を促進させる技術サービスといった業務を展開しています。

AI を全社共通の基盤技術にするとお聞きしました。

児堂 おかげさまで当社はこの10年で売上げが3倍に伸長し、それにともなって開発案件が増え規模も急速に拡大しています。そこで「開発効率2倍」を目標として掲げ、今までとは違う開発手法を模索しました。
AI は、こうした中から浮かび上がってきた次の開発技術のひとつです。現場では、実際の実験結果などリアルな現象をもとに研究・開発を行っていますが、同様のことが AI やシミュレーションなどバーチャル環境でも可能になっています。そのAI技術を当社全事業部門の共通基盤にすることで、開発効率を目標としている2倍に高めたいと考えたのです。
もちろん、当社でも各事業部でAI技術の開発や応用にいち早く取り組んでいますが、いずれも製品を起点とする技術で、そのノウハウや知見は製品や担当者に限定されたものでした。今回の取り組みは、AI を全社的な技術開発の共通基盤とすることが目的であり、その点が特徴的といえます。

今回の取り組みのプロセスをお聞かせください。

興膳 具体的な検討は2018年の暮れからで、当センター内で部門横断のチームを作り、開発効率2倍の目標をクリアするにはどうするべきかというところから議論をスタートさせました。その中で、開発プロセスにおける AI の利用価値や、データサイエンス教育の必要性に気づき、今回のAI教育プログラムの実施に至りました。
AI技術を目的に応じて柔軟に使い分け、開発を効率よく進める、そういうデータサイエンスの資質を備えた人材を社内で育てることが今回の目的です。そのためには、ディープラーニングやニューラルネットワークなどの個別技術のほか、それに付随した幅広い知識の習得が欠かせません。また、モデリングや統計的な分析手法を身につけたり、各種ツールの利用など作業を効率よく進めていくための応用力を身につけたりすることも必要です。
AI の教育サービスを行っている企業はありますが、特定の技術に特化して行っている場合がほとんどで、一般教養を身につけるようにAI技術を習得させたい、という我々のニーズを満たすプログラムはありませんでした。そこで、以前から AI や機械学習の開発で取引のあったNTTデータ数理システムに相談し、データサイエンティスト育成プログラムを作成・実施してもらいました。
同社は数理科学の専門家がたくさんいますし、VMS など汎用ツールも多彩に開発しています。今回の我々のニーズに、まさにうってつけだと思いました。

知識と演習のセットで技術を習得

プログラムの内容を教えてください。

徳本 プログラムは3カ年計画(図参照)とし、初年度の2019年は人材育成と習得した技術の案件適用を目指しています。まず第1ステップとして、AI に関する知識を幅広く習得する座学と演習を2カ月間実施、その基礎知識をもとに第2ステップとしてセンサタグを利用した総合演習により、AI を使う実力を身につけます。第3ステップは、それまでに得た知見をもとに実案件に取り組んでもらいます。現在、当センターから17名がこのプログラムに参加しており、中村も参加者のひとりです。

データサイエンティスト育成計画の画像

プログラムに参加した印象をお聞かせください。

中村 第1ステップの座学で覚えるべき知識が多く、正直、面食らいました。しかし、第2ステップの演習になったら、がぜん楽しくなりました(笑)。センサタグで採取したデータの扱いやその後のモデリングなど、作業の随所で第1ステップで教わった知識が役立ったのです。
座学と演習、このワンセットで知識と技術を関連づけて習得できたと実感しています。また演習にしても、課題の設定やデータの採集方法、問題の解決まで自分で考えて行うやり方のため、実案件への応用もスムーズにいくのではないでしょうか。

NTTデータ数理システムのツールをプログラムでお使いと聞きました。

中村 データサイエンス業務の中でデータ分析とモデル構築は、自分でプログラムを書くなどして手間がかかる部分でもありました。そこにNTTデータ数理システムのツールを使用すれば業務が効率化し、仮説立案など本来業務に集中できるようになります。
現在は、機械学習モデルの構築や検証に VMS、統計モデル構築のために VRP、さらにディープラーニングモデル構築に Deep Learner を使っています。座学で基礎知識をみっちりと学んだおかげか、これらのツールもすぐに馴染むことができました。私自身はディープラーニングに興味があるので、Deep Learner をもっと使いこなしていきたいと考えています。

これまでの評価と今後の抱負をお聞かせください。

児堂 今回の取り組みはまだ始まったばかりですが、現在のところ、当初の狙い通りに進んでいると感じており、この取り組みは来年以降も続けていきます。現在学んでいる17人が今後、業務展開していく中では壁に突き当たることもきっとあるでしょう。そのとき17人が互いにアイデアを出すなど助け合うことで、各自の技術習得レベルも上がるはずです。
「AI を、まず使ってみてください」と、AI研究の第一人者である東大の松尾豊先生がおっしゃっていましたが、まさにその通りだと今回のプログラムを通して感じました。使うことで AI に対する習熟が進み、それが次の活用や応用を生み出す。そういうサイクルが生まれつつあると感じています。

おわりに

今回は、データマイニングに必要なデータの前処理から、データの分析・処理まで、高機能なツール群を簡単に利用することのできる汎用ツール「Visual Mining Studio(VMS)」、多くの統計手法を簡単なマウス操作で実行できる汎用の統計解析ツール「Visual R Platform(VRP)」、およびディープラーニング(Deep Learning、深層学習)のモデルを対話的に設計し、実行するためのモジュール「Deep Learner」を活用していただく教育プログラムについてご紹介しました。 個社向けにカスタマイズされた教育プログラムとは別に、集合形式の教育プログラムも実施しております。こちらは1名様よりお気軽にご参加が可能ですので、ご興味をお持ちいただいた方はこちらをご覧ください。

また、弊社NTTデータ数理システムでは、長年培ってきた数理科学の技術を基に、お客様のご要望に合わせた受託開発を承っております。「データはあるから何となく何かをやりたい…」というきっかけでも大丈夫です。お客様が解きたい課題を弊社技術スタッフが一緒に課題整理を行いながら、ご要望に合わせたご利用形態で課題解決をサポートします!ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談いただけると幸いです。