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  村田製作所様のデータサイエンス教育プログラム関連記事
  
Profile:株式会社村田製作所 様
技術・事業開発本部 共通基盤技術センター 
“孤独”になりがちなオンライン講義、それを防ぐために 
2期目になってプログラムに変更はありましたか。 
中村  本プログラムは、AI や機械学習について「知る」「分かる」「使える」ことを座学や演習を通じて学び、さらに実案件への応用を通じて「できる」「教える」ようになることを目指しています。2019年度は1期生として共通基盤技術センター内の開発者を対象に実施しました。センサタグのデータを素材にNTTデータ数理システム協力のもと VMS で機械学習モデルの構築や検証を行い、Visual R Platform で統計モデルの構築、さらに Deep Learner でディープラーニングモデル構築などを行いました(2019年度の本プログラムの様子 )。カリキュラム追加前のベイズ最適化のコンサルティングの様子 )。
オンライン開催のご苦労や工夫はありましたか。 
徳本  従来のオンサイトによる開催であれば、講義後に受講生間で意見交換して自分の到達度を確かめたり、分からないところを聞いたりできます。しかし、オンラインだとそういったことができず、受講生は孤立感を感じモチベーションが下がってしまう傾向があると聞きました。どうすればいいか、我々がまず重視したのは、受講生とのコミュニケーションです。メールやweb会議などで連絡を取り、疑問や質問に丁寧に答え受講生に寄り添いました。受講生の中には、オンライン開催に不安を持つ人もいて、それに対しては「1年を通してみんなで学んでみましょう」といったフォローで不安や孤立を感じさせないように努めました。
講義以外に対面による演習も実施したそうですね。 
徳本  前年度は、講義で学んだ機械学習や統計手法の応用的な力をつけるために、グループで実際にデータを分析する総合演習を行いました。とても有意義だったので、2020年度も実施することにしたのですが、コロナ禍での実施方法についてはすごく悩みました。受講生が集まってワイガヤした方が、さまざまな成果が期待できます。しかし、受講生が全国の事業所に散らばっていたこともあり、考えた末、受講生が多い本社と野洲事業所ではオンサイトを基本に、その他はオンラインというハイブリッド・スタイルを試行してみました。その結果、オンサイトのグループの方がゴールに至るまでの時間が早かったのに対し、オンラインは細かなコミュニケーションを数多く重ねゴールへたどり着きました。それぞれの傾向が見られたと思います。
データ収集、加工、分析のためのソフトウェア開発にかかる時間をなくし、実作業に集中するために VMS など各種ツールが活用されている。 開発効率2倍、そして AI を当たり前に 
2期目をどのように評価されていますか。 
徳本  オンラインでできること、できないことが、この1年間の取り組みで見えてきました。例えば座学は知識中心なのでオンラインでもできそうですが、総合演習はチームでの取り組みになるため、オンサイトの方が意思疎通が早く短期間で良い結果が出せそうです。それぞれのメリットを活かしながらいかにバランス良くマネジメントしていくか、それが次の課題です。
興膳  これまでは講習のたびに1か所に集まっていましたが、本当に必要なときにのみ集まるようにすれば受講生の負担が減りますし、出張費などのコスト減にもつながります。またリモート会議ツールなどのITテクノロジーも進化しており、さらなる活用も期待できそうです。コロナ禍、我々は大変な体験をしましたが、その経験を次に活かしたい。そうすることで、コロナ禍もプラスに転じさせたいと私たちは考えています。
NTTデータ数理システムからのサポートへのご感想はいかがですか。 
中村  コロナ禍という未体験の状況だったので、プログラムの進行にあたってはNTTデータ数理システムと綿密に協議し工夫を重ねました。先ほども説明したように講義の進め方、受講生のフォローなどに協力してもらい感謝しています。
1期生の活動状況を教えてください。 
中村  社内の各部署でそれぞれに活躍しています。自分の業務のほか、他部門からの解析依頼なども請け負ったりしています。データを集める、ラベルを付ける、検証と学習に分けるといった AI の基礎をこのプログラムでしっかりと身につけているので、それを活かすことで画像分析や時系列分析など幅広い案件をこなすことができています。私も1期生で、事務局の業務のほかに時間を作って AI の案件に取り組んでいます。
今後の抱負をお願いいたします。 
興膳  「開発効率2倍」「AI を当たり前に」というキーワードでこのプログラムを企画しましたが、やっとそのスタートラインに立てたと思っています。これまで2期にわたってプログラムを実施し、それによって社内に AI を使った開発が浸透しつつあります。社外からも「AI教育をしているそうですね」と声をかけられることが増えました。このペースでプログラムを継続していけば、キーワードはきっと実現できることでしょう。AI自体の進化や、コロナ禍のような社会的な問題が今後も出てくるとは思いますが、目標達成に向けて着実に取り組んでいきます。
おわりに 
今回は、「Alkano」を活用していただいた事例についてご紹介しました。データ分析を活用した課題解決について、少しでも興味をお持ちいただけたでしょうか?
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