シミュレーション適用事例:ライドシェア

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シミュレーション適用事例 として、シミュレーションで解決できる様々な事例を紹介しています。
NTTデータ数理システムで開発しているシミュレーションシステム S4 Simulation System 上での実装例もご紹介します。

背景

ライドシェアとは、配車サービス会社のアプリでドライバーと利用者をマッチングする事で、利用者の移動にかかる費用を安くし、車両の稼働率を上げる事を目的とするサービスのことです。
世界では近年、ライドシェアの普及が進んでいますが、日本では自家用車を使用したライドシェアは認められていないこともあり、普及が遅れています。
今後、日本でライドシェアが普及した場合、配車車両に相乗りの仕組みを導入するとどのような効果があるか、シミュレーションしてみます。

配車車両を使った相乗り

今回は、ライドシェアによる配車車両の相乗りの効果をシミュレーションしてみます。
「相乗り」については以下のような、動的に経路変更を行う仕組みを想定します。

  1. 乗客はアプリを使ってクエリ(出発位置・目的位置)を送信し、配車車両を呼ぶ
  2. 事業者はクエリから付近を走る配車車両とのマッチングを試みる。
  3. 成功した場合、その配車車両の経路・料金が変更される。現在の乗客を載せたまま、1.の乗客を拾い、両者の目的地に向かう。

使用データ

配車車両のプローブデータ(走行時のGPSデータ)を使います。
データは、時刻・緯度・経度、車両IDからなります。

実装・実験

シミュレーションモデルとして

  1. データを再現するモデル
  2. 1.に相乗りの仕組みを導入したモデル  

の2つを構築し、両者をビジネス的な観点から比較します。具体的には、輸送効率時間あたりの売上、顧客獲得数等があります。
日本では、すでにタクシーの相乗り効果について、実証実験も行われていますが、シミュレーションは、実証実験よりも手軽に低コストで効果を検証出来ることが、メリットです。

シミュレーションモデル(相乗りあり)

相乗りありのモデルは、データを再現するモデルを次のように変更します。

  1. 乗客の生成: 乗客の発生率に応じて、配車車両の(出現位置・目的位置)を1件サンプリングします。
  2. 乗客の割り当て: 一定時間以内に出現位置に到着できる空車の配車車両もしくは相乗り条件を満たす実車の配車車両のうち、最も近くに居るものに割り当てます。
  3. 経路・料金の変更: 空車の配車車両に割り当てる場合、出現位置を経由して目的位置に向かう経路に変更します。実車の配車車両に割り当てる場合、相乗りが発生します。

相乗り時の詳細

  • 相乗り時の経路は総移動時間が短くなるように設定します
  • 料金は総額を各々の乗客が乗車距離に応じて按分します
  • 各乗客の乗り降りに一定時間分を要するものとします。

相乗り時の詳細

乗客・ドライバー双方の利益を考慮して以下のように設定します。

  • 経路の変更によって所要時間が当初の予定から一定割合以上増えない
  • どちらの乗客も料金が増加しない
  • 既に相乗りの予定が入っていない (3人以上の相乗りはしない)

相乗り評価指標

相乗りあり/なしそれぞれに対して以下の指標を比較します。

  • 乗客獲得率
  • 稼働時間の内訳 空車 / 実車の割合等
  • 総売上/ 1回の輸送あたりの売上

シミュレーションの様子

S4 Simulation System でシミュレーションしている様子

シミュレーションでは、まず、「相乗りなし」のシミュレーション結果と、実際のデータを比較し、シミュレーションの再現性を確認します。
その後、「相乗りあり」のシミュレーション結果における、評価指標と比較を行うことで、ライドシェアにおける相乗りの効果が得られるかを検証する事が出来ます。

おわりに

シミュレーションについて

他にもシミュレーションで解決できる課題の例をシミュレーション適用事例としてご紹介しています。
そもそもシミュレーションとは?シミュレーションってどうやるの?等の疑問をお持ちの方に向けて、具体例も交えて紹介・解説する【1から分かるシミュレーション読本】を無料公開しています。 よろしければ併せてご覧ください。

S4 Simulation System について

「S4 Simulation System」は、複雑なモデルGUI上で表現しを誰でも簡単にシミュレーションを行なえるソフトウェアです。本記事でも「S4 Simulation System」でのシミュレーション実装例をご紹介しました。
30日間の無償トライアルでシミュレーションモデルをご自身で動かしていただくことも可能です。ご興味をお持ちの方は下記のフォームからお問い合わせください。

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監修:株式会社NTTデータ数理システム 機械学習、統計解析、数理計画、シミュレーションなどの数理科学を 背景とした技術を活用し、業種・テーマを問わず幅広く仕事をしています。
http://www.msi.co.jp NTTデータ数理システムができること
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