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2022年10月20日 10:00
シミュレーション適用事例
として、シミュレーションで解決できる様々な事例を紹介しています。
NTTデータ数理システムで開発しているシミュレーションシステム S4 Simulation System 上での実装例もご紹介します。
背景
イベント会場近くの歩道や、駅・ショッピングモールのような大規模施設のように人が集まる空間では、各人がそれぞれの目的地に向かう事で、人の流れが起こります。この時、発生する問題点としては、
- 混雑が発生し、目的地に着くまでに時間がかかる
- 目的地で行列が発生する
- イベント会場において、事故が起こる
- 自然災害時の逃げ遅れ
等があげられます。
そこで、シミュレーションで人の流れを分析し、事前に施策を検討しておく事は非常に重要です。 具体的な施策には、非常灯やサインシステムを適切に配置し、人の流れをスムーズにする事や、警備員を適切に配置し、事故の発生を防ぐ事等が考えられます。
イベント終了時の帰宅をシミュレーション
S4 Simulation System で、実際にイベント終了時の人の流れをシミュレーションしてみます。下の動画は神宮球場でのイベントが終了し、イベント参加者が駅に向かう様子をシミュレーションしています。
このモデルでは、背景地図上に描画したネットワーク上をエージェントが移動し、混雑が推移する様子をシミュレーションします。エージェントは中央のスタート地点(神宮球場)から発生し、付近の駅のいずれかに向かって移動します。各エージェントは目的地まで最短経路を志向して、確率的に経路を選択するため、同じ目的地でも複数の経路で向かう様子が見られます。また、モデルに下のような細かい条件を化す事で、現実を精緻に再現しています。
- 人口密度に応じて歩行速度を決定するモデル(Greenbergモデル)を採用して、混雑時の速度低下を表現
- 一部エッジについては周期的に侵入可能/不可能の切り替え、ナイター終了後の交通整理の様子を再現
- エージェントの経路選択時に、過度に混雑している道路は避ける仕組みにより、混雑が自然に分散
新宿区周辺のシミュレーション
さらに広域な新宿区周辺の人流シミュレーションをしている様子が下の動画です。
- 歩行者の移動の様子をシミュレーションし、人口密度をヒートマップで可視化しています
- 地図情報は OpenStreetMap のものを使用しており、S4 の機能で緯度経度で範囲指定するだけで取り込むことができます
- 複数の鉄道駅を人流発生地点とし、その位置(緯度経度)および単位時間あたりの発生人数をエクセルで編集可能なcsv形式で指定しています(od.csv)
- あらかじめ地図領域を複数のエリア(ex. 競技場周辺/原宿駅周辺/新宿御苑内...)に分割しておき、人の移動はエリア間の移動確率をcsv形式で指定することで表現されています(pattern.csv)
- 人口密度に応じて移動速度が減少、滞留(停止)するといったオプションも指定可能です
S4 Simulation System ではこのような人流シミュレーションを効率的に作成できるように、地図エディタ等の便利な機能やエージェント行動のフレームワーク 等を多数用意しています。
お客様事例
- 日本電信電話株式会社 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 様
- 九州大学マス・フォア・インダストリ研究所 富士通ソーシャル数理共同研究部門様
福岡空港を訪れる旅客満足度向上の為の数理技術を開発されています。 その取り組みの一つとして、国際線ターミナルの手続きにおける混雑シミュレーションを S4 Simulation System を用いて開発し、混雑解消の為の施策検討を開始しました。
プレスリリース:九州大学と福岡空港ビルディング、富士通研究所が旅客満足度向上にむけた実証実験を開始
サンプルプログラム
S4 Simulation System の人流シミュレーションのサンプルプログラムをダウンロードできます。
おわりに
シミュレーションについて
他にもシミュレーションで解決できる課題の例をシミュレーション適用事例としてご紹介しています。
そもそもシミュレーションとは?シミュレーションってどうやるの?等の疑問をお持ちの方に向けて、具体例も交えて紹介・解説する【1から分かるシミュレーション読本】を無料公開しています。 よろしければ併せてご覧ください。
S4 Simulation System について
「S4 Simulation System」は、複雑なモデルGUI上で表現しを誰でも簡単にシミュレーションを行なえるソフトウェアです。本記事でも「S4 Simulation System」でのシミュレーション実装例をご紹介しました。
30日間の無償トライアルでシミュレーションモデルをご自身で動かしていただくことも可能です。ご興味をお持ちの方は下記のフォームからお問い合わせください。
また、「S4 Simulation System」のご紹介とハンズオンでのシミュレーション体験を行うオンラインウェビナーを毎月無料で開催しております。ご興味をお持ちの方はぜひご参加ください。
http://www.msi.co.jp NTTデータ数理システムができること