最適化楽屋話#2 メタヒューリスティクスの登場

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最適化楽屋話#2 メタヒューリスティクスの登場

2019年12月12日 09:00

※当記事は2016年8月に執筆・公開されたものです。
※「Numerical Optimizer」は2022年3月28日より「Nuorium Optimizer」に名称変更しております。

Numerical Optimizer 開発責任者の田辺隆人でございます。

聞いた話ですが、温泉旅館の仲居さんの新人教育で最も重要なことは一つだけ。それはお客さんの要望にその場でノー、と言わないことなんだそうです(「行儀作法や立ち振る舞いはさておき、これだけは徹底します」)。聞いたときにだめという気がしても、一度は持ち帰って要望を叶えることができないか考えてみる姿勢が大事なんだとか。せっかく実務の解析をしようと勢い込んで話をしてくれているお客さんに「データがまだ集まってないので、まだ解析は無理ですねえ・・」とか悲しいことを言わないで、「データがまだならルールはどうでしょう。ルールがあればデータの補強になりますし、後で集めたデータもちゃんと活かすことができます」と言えるのが専門家として正しい姿勢だよなあと思います。ビッグデータがなければコンピューティングができないのならば、人類は月に行ってないはず。大事なのは「ルール」・「データ」いずれにも一辺倒にならないことかなと思います。

数理最適化は計算機が出すべき内容が多いだけ、実行可能解が出ない場合の負のインパクトは(悪い方の)絶大。何にも結果がない、なんてお客さんに全く申し訳が立ちません。すこし前にOR誌に書いたのですが、今に比べるとアルゴリズムも未発達で計算機も遅かった昔には、特に離散最適化の問題で最初の実行可能解が出るまでの厭ーな感じをずいぶん味わいました。その辺がメタヒューリスティクスの登場、分枝限定法ソルバーへのヒューリスティクス導入などによって大分と克服され、少なくとも15年ほど前に比べると数理最適化もすこしはとっつきやすくなった気がします。

かなり前から我々がセミナーとかで使っているナーススケジューリング(もどき)のデモンストレーション(wcsp で解いています)では 20×30=600 の空白セルを10秒くらい待つと休日の数まで揃えて埋めてくれますが、人手でこれを埋める仕事は本当に大変なことだといつも思います。

田辺 隆人 株式会社 NTTデータ数理システム 取締役
Nuorium Optimizer 開発責任者
数理科学がプログラムとして世の中に出てゆく様子を追いかけ続けています。
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