最適化楽屋話#20 ビジネスとして数理最適化を実践するために

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最適化楽屋話#20 ビジネスとして数理最適化を実践するために

2020年7月 8日 09:00

※当記事は2020年6月に執筆・公開されたものです。
※「Numerical Optimizer」は2022年3月28日より「Nuorium Optimizer」に名称変更しております。

Numerical Optimizer 開発責任者の田辺隆人でございます。

今日はどうやって車を回そうだとか、機械にさせるべき仕事の順番をどうしようだとか、来月のシフト繰りを作らなきゃだとか、仕事の現場で我々が何度となく、しかし何らかの意図(あんまり明文化されてないのが普通)を持って行っている所作を、数理モデルというものを通じて行うことで省力化、あわよくば、質の改善をしてやろうじゃないか、というのが数理最適化の動機です。

大雑把に言うと我々の「意図」を数理モデルに翻訳する作業が数理最適化の特徴と言えますが、何でも盛り込めばよいというわけではなく、数理モデルは答がでて初めて役に立つのだから、結果が出る程度に計算機アルゴリズムに馴染の良いものにしなければならない・・・といった話は我々の最適化のセミナーなどで繰り返しお話しすることなのですが、我々がビジネスとしてお金を頂いて数理最適化を行なう上ではもう一つ決して外してはならない観点があります。

それは、「結果」がどう使われるか、ということ。

数理最適化の結果がそのままシフト表や配車表となって現れることを前提とされているのか、人の手直しを前提としてよいものなのか、あるいは実際には使わないけど人の結果を「評価」するためのものなのか。より良い結果が欲しいのか、属人化を排して自動化することが必要なのか、激変した環境の中で実行可能解が存在することを示すことが求められているのか。

お客様が数理最適化の結果にどんな意図や期待をかけられているのかを伺うことで、使うシステムの構成や選定するアルゴリズムも大きく変わって参ります。ビジネスとして数理最適化をはじめとする数理科学を実践する立場の我々から、技術を語ってみようという意図で MSIISM というメディアサイトを立ちあげました。最適化の応用事例や手法、お客様の実務の現場に役立ちそうな情報を発信してゆくという、本ブログの趣旨に良く似ていますが、こちらでは幅広くデータ分析やシミュレーションの話題など取り上げております。あわせてご愛顧いただければ幸いです。

田辺 隆人 株式会社 NTTデータ数理システム 取締役
Nuorium Optimizer 開発責任者
数理科学がプログラムとして世の中に出てゆく様子を追いかけ続けています。
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