Numerical Optimizer 開発責任者の田辺隆人でございます。
ZIB 主催の co@work というイベントに参加しました。時節柄オンライン開催なので、ヴィデオを投稿し、上映した翌日にオンラインミーティング形式で生で質問を受けました。私は「Industry Day」と銘打ったセッションに、数理最適化のユースケースの特徴を抽出して、ユーザーとの適切なコミュニケーションとか最適化のコアコンピテンシーみたいなものを考えよう、という趣旨のトーク:How to Create Nice Use Cases of Mathematical Optimization? で参加しました。
- 「お客さんに数学が役に立つことをどうやって知ってもらうのか」
そのためにこういうイベントに参加したり、セミナーやったりしているけれど、一番難しいポイントです。
- 「取り組むべきプロジェクトをどうやって選んでいるのか」
要求が具体的か、データがあるか、結果が出せそうか、という尺度でしょうか。
- 「良い答がでなかったらどうするのか」
エキスパートの答に勝つのは大変ですが、自動化によって業務のプロセス自体を変革できることは確かなので、それを含めて評価してもらうようにしています。
- 「大域的な「最適化」と、今より改善する「最適化」の違いをどうやって説明するのか」
正直言いますと、大域的な方で人を引き付けておいて、やっていることは「改善」というのが実際のところという場合が多いですね。大域的な方を意識するとなかなか話がまとまらないですし。
- 「フリーソフトは産業界ではどのように受け入れられているのか」
我々のような商用ソルバーベンダーには脅威という側面はあるけど、手軽に使えるという意味で最適化を広めてくれている存在とも言えます。産業界は動作の保証が重要だからメンテナンスが必要とされることで商用が志向される部分はあるでしょうか。
- 「機械学習がやはり産業界でも注目されているのか」
深層学習は細かなエンジニアリングをしなくてもある程度の精度の結果が出せる、という結果が驚きと期待に繋がっているように見えます。新しい有効な手法の発見であることは確かだと思うけど何でも解けるわけではないです。
という一般的な質問(私の行った回答の趣旨を下に書きました)の他、当社の業態に対して
- 「ソルバー作り」と「数理最適化案件のコンサル」は要求されるスキルが違うけれど、異なるチームがやっているのですか。
という質問も受けました。我々は、同じ組織で両方やっていて、同じ人がソルバーを実装したり、コンサルティングしたりすることも多いので、アルゴリズムと実装を知っていることがコンサルティングにも確実に役に立つ、と答えましたが、確かに両方やっているのは珍しくも見えるのかな、とちょっと嬉しいような気もしました。
田辺 隆人
株式会社 NTTデータ数理システム 取締役
Nuorium Optimizer 開発責任者
数理科学がプログラムとして世の中に出てゆく様子を追いかけ続けています。