最適化楽屋話#5 実務家が数理最適化を行うセンス

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最適化楽屋話#5 実務家が数理最適化を行うセンス

2019年12月15日 09:00

※当記事は2016年9月に執筆・公開されたものです。
※「Numerical Optimizer」は2022年3月28日より「Nuorium Optimizer」に名称変更しております。

Numerical Optimizer 開発責任者の田辺隆人でございます。

「最適化読本」をテーマとしたセミナーの第一回が先程、終了しました(ご来場ありがとうございました)。その最後のスライドでお話しした内容ですが、数理最適化の創始者である Dantzig先生のエッセーにこんな一節があります。(おそらくは世界で始めて)線形計画法を定式化し、いざ解こうとするとき、「明らかに役に立ちそうな問題だから、既に誰かがずいぶんと研究しているに違いないと思ってまずは文献を当たってみた」。じつはそんな人は何処にも居らず、彼は単体法を発明するのですが、この「誰かが解いているに違いない」という感覚がまさに実務家が数理最適化を行うセンスだなあと思って嬉しくなりました。

実務で行きあたった問題のエッセンスを抜きだして数理モデルの定式にまとめる。興味を持った誰かがその理論的背景を探り、アルゴリズムを案出する。また誰かがそのアルゴリズムを実装したプログラムを作る、という共同作業が今日の数理最適化の応用を支えています。問題に対して適切なソリューションを選び、理論的背景が整ったアルゴリズムを実装した実績あるソルバーを使い、手軽にアタックできるのは先人の方々の努力があってこそ。今は検索などで手軽に先人の努力に触れられる時代です。我々も未来の実務家に向け、tips やノウハウを提供する役割を果たしたいものだと思っております。

田辺 隆人 株式会社 NTTデータ数理システム 取締役
Nuorium Optimizer 開発責任者
数理科学がプログラムとして世の中に出てゆく様子を追いかけ続けています。
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