最適化楽屋話#19 電力施設・ネットワークの設備計画最適化

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最適化楽屋話#19 電力施設・ネットワークの設備計画最適化

2020年6月 1日 09:00

※「Numerical Optimizer」は2022年3月28日より「Nuorium Optimizer」に名称変更しております。

Numerical Optimizer 開発責任者の田辺隆人でございます。

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様々な需要をカバーするために設備をどう増強した方がよいか、というのは非常によく現れる最適化問題(設備計画最適化)ですが、この報告では電力施設が様々な災害シナリオに対して平常の通信を維持するために、新たな回線を敷設したり、ローカルな発電設備を作ったりすればよいのか、という問題を解いています。枠組みは設備計画最適化とほぼ一緒。ただ、送電線のみならず、配電をコントロールする通信設備の故障と増強も考慮に入れたり、ネットワークデータも100ノード規模、数理最適化の答えをシミュレータ(openDSS)に入れて実行可能性をダブルチェックしている、などじつにリアルな設定です。

解く上での着眼は災害シナリオ(100個を考慮)において問題が独立であることで、この報告では各災害シナリオに対するリカバーの方法を導く部分問題を解く所作を分枝限定法の中に組み入れる Branch&Price という方法を用いています。考慮するシナリオを順次増やしてゆく方法(Scenario Decomposition)や列生成法と比べて良かったことも実験的に示されています。こうなる理由は問題の構造にフィットしていることや実装上の工夫(複数報告されています)など様々なファクターがあり得るのですが、どこが有効だったのか検討の材料となるのも、問題を解く立場としては興味深いところです。

故障があまり頻繁でない場合、送電線が長いネットワーク(Rural)では発電機を分散するのがコスト安な解決方法である、とか配電をコントロールする通信設備が不十分だと対策コストが跳ね上がってしまう、など得られる結論はなるほどなあというものですが、数理モデルの裏打ちがあるとこういう決定が説得力を持ちます。

田辺 隆人 株式会社 NTTデータ数理システム 取締役
Nuorium Optimizer 開発責任者
数理科学がプログラムとして世の中に出てゆく様子を追いかけ続けています。
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